- 2018-4-27
- 融資サポート
- 事業性評価融資, 金融機関とのつきあい方
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取引している銀行が、2020年以降になくなることもあり得る話です。
こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。
16年前、私が勤めていた金融機関は、多額の不良債権を抱えたことにより、破綻してしまいました。
当時、同じように破綻した金融機関は、たくさんありました。
その結果、金融システムを正常化させるため、金融検査マニュアルが誕生しました。
金融検査マニュアルによって、「財務内容が良い先」「担保や保証人のしっかりしている先」という、
いわゆる「格付けの高い先」にしか、融資ができない時代が続いたのです。
2014年、「金融システムは盤石になったのではないか」という判断の下、金融庁は、
「格付けの高い先に優先的に融資をする」という方針から、
「決算書の内容や保証・担保だけで判断するのではなく、事業内容や成長可能性等も評価して
積極的にリスクマネーを融資する」
という指導方針に変わりました。
この
「決算書の内容や保証・担保だけで判断するのではなく、事業内容や成長可能性等も評価して融資する」
ことを「事業性評価融資」と言います。
2016年以降、金融庁は、地域金融機関に対して、2つのことを行うようにと指導方針を強化しました。
それは、「事業性評価融資を積極的に行うこと」と「取引先企業の本業支援を積極的に行うこと」です。
「取引先企業の本業支援」とは、「取引先企業の付加価値を高めるサポートをすること」で、
具体的に言うと、その企業の売上や利益を増やしたり、経営課題を解決するサポートをすることです。
その結果、現在、地域金融機関は、大きく分けて2つのタイプに分かれています。
一つは、積極的に事業性評価融資や本業支援を行っている金融機関。
このタイプの金融機関は、他の金融機関が融資しないような先でも、
自身の「目利き力」や「本業支援を行う」ことで、融資を可能にし、
高めの金利を獲得できる体制を作れています。
こういう金融機関のことを「リスクテイク能力が高い金融機関」と言います。
もう一つは、今までの融資(金融検査マニュアル体制下の融資)体制から脱却できていない金融機関。
このタイプの金融機関は、取引先企業の経営や事業に関する目利力もなく、
本業支援能力もないため、融資案件を獲得するには金利競争に巻き込まれやすい体質になっています。
こういう金融機関のことを「リスクテイク能力が低い金融機関」と言います。
日銀が4月19日(木)に公表した「金融システムリポート」によると、
「貸出競争の激化や金融緩和の影響から、金融機関は、いわゆる「ミドルリスク企業」向けを中心に、
低利による貸出を積極化させている。」
となっています。
[blogcard url=”https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr180419.htm/”]
「ミドルリスク企業」は、優良企業に比べ内部資金が少なく借入の金利感応度が高いため、
金融機関が低金利を提示すれば、潜在的な借入需要が顕在化しやすいことがあります。
昨今の金融機関全体における積極的融資方針の中、ミドルリスク企業向け貸出の増加は、
自己資本比率が高く、リスクテイク能力が相対的に高い金融機関で生じていますが、
同時に、ある程度のリスクをとってでも貸出を増やしたいと考えている、
基礎的収益力が低い「リスクテイク能力の低い金融機関」でも増えている傾向にあります。
これ、実は、とても危険な状況なのです。
多くの識者が、
「東京オリンピック終了後の2020年には、日本の景気が後退する」
と言っています。
そうなると、景気悪化や金利上昇など負のショックが発生する可能性も高く、
収益性や借入返済能力の低いミドルリスク企業を中心に
ランクダウン(正常先→要注意先→要管理先→破綻懸念先)が発生し、
「貸倒引当金の増加」という信用コストが急激に上昇する可能性も考えられます。
リスクテイク能力の高い金融機関の場合、ミドルリスク企業に対しても、
リスクに応じた適正な金利設定を行っているので、収益力は高いため、
信用コストが増加しても、生き残ることはできますが、
リスクテイク能力の低い企業の場合は、収益力が低いため、信用コストが増加した瞬間、
財務力が極端に悪化し、融資を行うことができないような状況に陥ってしまいます。
それが続くと、その金融機関に対する信用不安が発生し、最悪の場合、
私が所属していた金融機関のように、破綻してしまうこともあり得ます。
まあ、実際には、その前に、他の金融機関からの救済合併ということになりますが、
その金融機関と取引していた企業にとっては、メインバンクを失うことになってしまいます。
景気が悪くなったときに、メインバンクを失ってしまった企業は、
資金調達がなかなかできないため、苦境に陥る確率が高くなります。
そうならないためにも、今から行っておくべき事は、
「リスクテイク能力の高い金融機関との取引を行っておくこと」
と
「複数の金融機関とつき合っておく事」。
そうしておけば、メインバンクを失う可能性は低くなりますし、
いざという時は、他の金融機関から支援を得ることができるようになります。
「メインバンクが消滅する危機」は、2020年以降、かなりの確率で発生します。
そのときに慌てて対策に走っても、絶対に遅いのです。
金融機関は、取引のない中小企業から
「今、資金繰りに困っています。いますぐ融資をして欲しいのです」
と依頼されても、絶対に、融資しません。
だから、今、余裕のあるときに、「消滅しそうもない金融機関」を見つけ、
取引を始めておくことが重要です。
そんな
「消滅しそうもない金融機関を見つける方法」と、「新たに貸してくれる金融機関を方法」
に関するノウハウのヒントが手に入ります。
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(東京) 5月8日(火)、9日(水)、11日(金)、14日(月)、15日(火)
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