- 【オンライン】
- 2025年5月1日(木)・5月22日(木)・6月2日(月)・6月13日(金)
- 【東京】
- 2025年5月15日(木)・5月29日(木)・6月9日(月)・6月19日(木)
- 【大阪】
- 2025年5月23日(金)・6月11日(水)
融資に落ちた理由が「資金使途不明」だったとき、支援する士業・コンサルタントができる3つの対応策と、3つのステップをお知らせしましょう。
こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。
ネクストフェイズの調査によると、中小企業の経営者が金融機関に融資を申し込んで断られる理由の第2位が、「資金使途が不明確」。資金調達を支援している士業やコンサルタントなら、同様の理由で融資に落ちた経営者から相談を受けたことがある方も多いでしょう。
1位:直近決算が赤字、または債務超過になっているから |
2位:資金の使い途が不明確だから |
3位:返済条件に無理があるから |
4位:必要書類や業績資料が不足しているから |
5位:経営者の説明に納得できないから |
今回は、金融機関から「資金使途が不明」と言われてしまう原因と、そのとき取りたい具体的な対応策を、実行ステップとともにお伝えします。
※なおネクストフェイズは、事業者への個別アドバイスを行っていません。ご相談のある事業者は、ネクストフェイズが運営する一般社団法人融資コンサルタント協会の会員を検索して気軽に連絡を取ってください。融資の専門研修を受けた融資コンサルタントが、全国に1,000名以上います
取引先(顧客)から融資を依頼された金融機関の担当者は、「融資稟議書」を作成します。その融資稟議書の内容次第で、融資審査の結果が大きく変わります。
融資稟議書の審査でとくに重要なのが「①資金使途」「②返済資源」「③融資効果」の3つ。たとえば、以下のような情報が求められます。
なかでも最初に注視するのが「資金使途」。金融機関が最初に「資金使途」を確認するのは「①その融資は本当に必要か」「②貸したお金が適切に使われるか」を判断するためです。
資金使途が明確ならその必要性、資金の流れや返済計画の妥当性を検証しやすくなり、「返済可能性」の見極めにつながります。
一方、資金使途が不明確だと、融資のリスクが高い(=返済が滞るなど)と判断され、審査を通過しにくくなるのです。融資の必要性、返済原資の有無などの懸念が拭えませんので、結果として「貸せない」という判断になりやすいでしょう。
「資金使途の説明が曖昧だったために融資が通らなかった」という相談は多いもの。実際に金融機関から「資金使途不明」と判断されるケースを紹介します。
中小企業の経営者にとって、手元資金の厚みは経営の安心材料です。その気持ちは金融機関も理解できますが、「備えのために」など漠然とした理由では、融資の必要性や資金使途が明確とは言えません。
上にも書いたように、金融機関は「貸したお金が、事業にどう使われるのか」「その結果、どのように返済されるのか」を知りたいのです。しかし「具体的な支出計画はないけれど、念のために資金を確保したい」という申請では、貸付の根拠が曖昧で「資金使途不明」と判断されるリスクが高くなります。
そのためこのようなケースでは、たとえ予備的な資金であっても「想定される使い道」をいくつか具体的に整理し、用途別の金額配分やタイミングまで示すことが重要です。
「販促」「広告」「マーケティング強化」「PR施策」「営業支援」などの言葉は、一見すると前向きな印象があります。が、金融機関側から見ると内容をイメージしにくく、資金使途としては不十分。「何に」「いつ」「いくら使うのか」が見えないため、「資金使途が不明確」と判断される可能性が高くなります。
たとえば「広告宣伝費」と書かれているだけだと、「Web広告か、チラシ配布か、イベント出展か」「対象は既存客か、新規客か」などの具体像がつかめません。また、それによりどのような効果を見込んでいるのか(売上の増加、見込客の獲得など)も詳細な説明がないと、金融機関側は「この投資が事業にどう貢献するのか」を評価できないのです。
したがって士業やコンサルタントが経営者をサポートするときは、「具体的な媒体名」「実施時期」「見積金額」など施策内容を明記した資料を作成しましょう。融資審査での説得力が格段に高まります。
「運転資金を貸して欲しい」と融資を申し込むケースは少なくありませんが、この表現だけでは資金の具体的用途が伝わらず、金融機関から「資金使途が不明確」と判断されてしまいます。
「運転資金」とは、広く言えば、日々の事業運営に必要な資金全般を指します。人件費、仕入代金、外注費、家賃、光熱費、広告費など、その内訳は企業によってさまざまです。
しかしそれらをひとまとめに「運転資金」と表現してしまうと、「何に・いつ・いくら必要か」という情報が欠落し、金融機関は融資の妥当性や返済可能性を判断できません。
たとえば「来月から新しい事業者との取引が始まり、月末に300万円分の仕入れ代金が発生するため、それに対応する運転資金が必要」など、具体的な支払内容・時期・金額まで明示できれば、金融機関側も「確かに必要な資金だ」と納得しやすくなります。
「資金使途不明」という理由で金融機関から融資を断られないようにするには、以下の3つのポイントを押さえておく必要があります。
たとえば、「広告宣伝費」と書くだけでなく、「新商品のプロモーションのためのチラシ制作費30万円、Web広告出稿費50万円」といった明細まで書き出すのが理想です。
また、「在庫仕入れ資金」も「○月に○個仕入れる予定の単価○円の商品、総計○円、支払いは○月」まで具体化します。
資金使途は、「何に使うか」だけでなく、「いつ使うか」も非常に重要です。
金融機関が融資に慎重になる理由のひとつに、「貸した資金がすぐに使われず、長期間手元に残ったままになることへの懸念」や、「貸したお金が資金使途以外の目的で流用される懸念」があります。資金が必要になる時期が不明確だと、「本当に今、融資が必要なのか?」という疑念を抱かせてしまうのです。
それを避けるために、「○月に仕入代金の支払いがある」「○月末にボーナス支給の予定がある」など、資金を使う具体的なタイミングを明示することで、融資の必要性を明確に伝えることができます。資金需要スケジュールが伝わることで、金融機関に納得してもらいやすくなるでしょう。
仕入先の見積書、取引先との契約書、販促の企画書など、資金使途を証明する資料があると、金融機関は安心します。「口頭での説明」よりも、証拠となる「資料」の方がずっと説得力があります。
実際に「資金使途が不明確」との理由で融資を断られた場合でも、適切に対応することで再度申請することができたり、または他の金融機関からの資金調達につなげることも可能です。
ここでは、謝絶された後に士業やコンサルタントが、経営者とともに講じる具体的なステップをご紹介します。
断られた直後、経営者のショックは大きいものです。が、原因を曖昧にしたままでは改善ができません。「どういった点が問題でしたか?」と、経営者から金融機関に丁寧に確認してもらいましょう。問題点の解消こそ、次の申請成功のカギ。経営者を勇気づけるのも忘れずに。
経営者からヒアリングした内容をもとに、まずは問題点の解消を行います。原因の1つが資金使途なら、その内容を具体化し、書面や資料を整えましょう。「一度断られたらもう無理」と思いがちですが、資金使途を明確にして再申請すれば、通るケースは多くあります。
支援する士業・コンサルタントとして大切なのは、「社長の感覚的な要望」を、「金融機関に伝わる言葉」に変換・翻訳することです。
「このお金は、何のために、いつ、どこに、どのような形で、いくら払うのか?」という5W1Hをもとに整理すれば、資金使途の明確化がスムーズに進み、金融機関に伝わりやすい書類になります。
資金使途が不明確というだけで、せっかくの融資チャンスを逃してしまう経営者は少なくありません。
彼らを支援する士業・コンサルタントとしては、①資金使途の内容を整理し、②金融機関に具体的な書面で伝えられるように整えることが、融資実現への大きな後押しになります。「なぜそのお金が必要なのか?」を金融機関が納得できる形で「見える化」する――それが、信頼を得て融資を通すための第一歩です。
このような「資金使途を明確に伝えるスキル」や「金融機関に伝わる資料の作り方」は、経験や勘だけだと、どうしても知識のあちこちに穴ができてしまいます。だからこそ、体系立てて学ぶ機会が必要です。
ネクストフェイズの「融資支援ノウハウ習得セミナー」では、現場で即使えるノウハウを、実例とともに詳しく解説します。
融資支援の質を高めたい、他の専門家との差別化を考える士業・コンサルタントは、ぜひご参加ください。クライアントの資金調達を「とことん支援」するプロになるための第一歩を、ここから踏み出しましょう。
※融資に関する質問などにもその場でお答えします
© 2019 株式会社ネクストフェイズ