田邊佑介中小企業診断士インタビュー【4】「スモールM&A、副業としての関与はアリ？」

大阪府大阪市で営業コンサルタントとしてご活躍の田邊佑介中小企業診断士。

田邊さんがネクストフェイズ主催の「スモールM&Aアドバイザーセミナー」を受講したのは、2017年。その後すぐM&Aアドバイザーとしてスタートしました。

翌2018年にはスモールM&Aについての2日間集中講座に参加し、同年10月には大阪での勉強会を立ち上げます。

さらに2020年3月、YouTubeで発信を開始、同年7月に一般社団法人日本M&Aファースト推進機構を設立し、東京都中小企業診断士協会城南支部でスモールM&A研究会を主宰するなど、スモールM&Aの普及にも尽力しています。なんという行動力！

本業の営業コンサルティングが順調なのに、なぜスモールM&Aの普及にこれほど取り組んでおられるのでしょうか。

以前から経済産業省から中小企業のM&Aの必要性が叫ばれており、近ごろは日本経済新聞にもこんな記事が掲載されました。

●中小M&A仲介を登録制に、経産省　優良業者を選別: 日本経済新聞

会社の「出口」たる事業承継として、また「会社を成長させる」ショートカットとして、さらに新型コロナウイルスの影響で増えている「再生・廃業」の手法としても、ますます注目されているスモールM&Aについて、田邊さんにお話をお聞きしました。

いつものように5回連載でお届けします。聞き手はネクストフェイズ編集部です。

●田邊佑介中小企業診断士プロフィールはこちら

田邊佑介中小企業診断士インタビュー（全5回）
「スモールM&A、副業としての関与はアリ？」
【もくじ】
１／営業コンサルタントであり、スモールM&Aアドバイザーでもある
 ２／成約にこだわらない、新しい立ち位置
 ３／積極的にスモールM&Aの普及活動
 ４／どんなタイプの士業・コンサルタントでも参画できる
 ５／何よりも、社会のニーズがある
　

第4回　どんなタイプの士業・コンサルタントでも参画できる

――　　資格や得意分野にかかわらず、スモールM&Aに関わっていけるんですね。

田邊　　本当にそうですよ。本業と絡めていけば、副業的に始められます。

――　　一方、スモールM&Aに向いている士業・コンサルタント像は。

田邊　　対人スキルがある人は、スモールM&Aに向いていますよね。本格的に実務をやっていこうとすると、もちろん全体の流れのなかでどの立場にいるかにもよるんですが、売り手にも買い手の両方に接触する局面もありますし、コミュニケーション上手な方が売り手も買い手も、もちろん実務の自分も幸せですよね。

――　　では対人スキルに自信のない場合は…。

田邊　　ご安心ください、対人スキルに自信がなくても、案件を持ち込む「紹介」という立場は取れるんです。だからもしスモールM&Aの世界に興味があるなら、やはりチャレンジする価値はあるだろうと思います。

――　　意外と参画しやすそうな。

田邊　　はい、もちろん僕の考える「いいスモールM&Aアドバイザー」の定義って、やはり「マッチングにこだわらない」ことですから。

――　　本業によるキャッシュポジションさえ見つければ。

田邊　　そうです、本業で絡んでフィーをいただいているからこそマッチングにこだわらず、その会社の幸せを考えられるんですよ。僕だって最初に成約したのって、受講してから2年経ってからです。でもマッチングだけが目的じゃないので、焦らなかった。それに…。

●「ネクストフェイズのセミナー受講後も、スモールM&Aについてよく勉強するようになりました。
たとえばマッチングサイトでは時流も読めますし、
よく観察してレポートなども作ったりするんですよ」（田邊さん）

成約まで時間がかかっても焦らなかった理由

――　　受講から、成約まで約2年かかった。

田邊　　はい、相談はいっぱい来るのですが、実際の売り案件になっていないなあ…というケースが結構ありました。勉強会でも「こんな相談もらいました」という話はするんだけども、そこから具体的な成約にはなかなか。

――　　でも焦らなかった。

田邊　　焦りはなかったです。マッチングだけが目的で関与しているのではありませんし、当時の講師だった齋藤さんからも、「最初の1件は、ラッキーパンチで早く当たらない方がいい」って言われたんです。

――　　そういうものなんですか。

田邊　　「簡単だ」「こんなもんだ」という意識がすり込まれない方がいい、という戒めの言葉ではないでしょうか。僕もたしかにそうだな、焦っていてもしょうがないなと思っていました。

――　　当時の齋藤講師からはアドバイスなどよくいただくんですか。

田邊　　それが、個別のアドバイスはほとんどなく（笑）。

――　　意外。

田邊　　というのも、僕が行っている勉強会にたまに来ていただいたりして、そこで質問しちゃうからなんです。もちろん自分の疑問を参加者にもわかるように、というつもりで質問しているんですが。契約書の巻き方や、業種別の特徴とか…。やっぱり専門家のアドバイスは的確ですよね。たいへん参考になります。

――　　なるほど。

田邊　　そうだ！　ひとつ印象に残っている齋藤さんからの個別アドバイスがありましたよ。ラブホテルの売却のとき、僕、まったく業界を知らなかったので齋藤さんに相談したんです。すると「ラブホテルというのはね、こことここが大事なんだよ」と具体的に教えてもらいました。「この指標を買い手さんに伝えれば、事情をわかっているアドバイザーだと信用してもらいやすいよ」と。で、実際にそのとおり行動したら、たしかに信用していただけたということがありました。

――　　田邊さん、受講からまだ数年なのに、すっかり頼れる専門家ですよ。

田邊　　いえいえ、専門家といっても、そんな意識はないですよ。というのも…。

（スモールM&Aの専門家とは？　第5回に続く）

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