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大阪府豊中市で開業している税理士・深田壽(ふかた・ひさし)さん。
税務のみならず、事業の「将来」「成長」を見据えた財務面からのサポートが好評で、
順調に顧問先を増やしています。
日ごろの地域密着型金融機関との信頼関係づくりを軸に、
2011年の独立からの道のり、仕事スタイル、業務スタンスなどを交えてお伝えします。
いつものように5回連載でお届けします。聞き手はネクストフェイズ編集部ですが、
取材に同席していたネクストフェイズ代表・東川もときどき発言しています。
深田壽(ふかた・ひさし)さん
税理士/深田税理士事務所所長
深田壽税理士インタビュー(全5回)
「税理士と金融機関、どう関係を結ぶ?」
【もくじ】
1/税理士ひとりではなく、他士業とチームを組むとさらに強い
2/金融機関との交流・勉強会の運営方法
3/顧問契約しない事業者を決めておく理由
4/顧問契約に至る前の「お試し」としての資金調達業務
5/税理士って、「営業」できないから
―― 融資の枠。
深田 融資の目的には、①運転資金 ②設備資金がありますよね。銀行は「この会社にこれだけ貸せる」とは明言しません。しかし財務諸表・社長・事業の将来性などを見て、だいたい「総額」これくらいなら貸せると判断します。
―― だいたいの判断がすでに。
深田 私が紹介を受けた社長さんは「リース利率が高いから設備資金としての融資で…」とおっしゃる。たしかに金利は、公庫や銀行の方が安いでしょう。しかしリース利率が高いからといって融資を受けてしまうと、その分「全体の」融資額だって減るんです。
―― では、いざ運転資金に困ったりしたら。
深田 そこです。困ったときに運転資金を借りられるよう、融資枠はできるだけ残しておくべきでしょう、単に金利の高低で決めていいんですか、とお話しします。
―― 経営者の反応は。
深田 たいていは納得なさいます。「今後たしかに何が起こるかわからない、設備資金で全体の融資枠を減らすくらいなら、少し金利は高くてもリースを利用して運転資金の融資枠を残しておいたほうがいい」と。
―― さすが経営者ですね。
深田 僕はこの経験を通し、税理士としての財務の視点、財務アドバイスの重要性を学びました。節税できればいいというものではなく、資金調達さえすればいいのでもなく、財務面から見てこれから会社をどう経営していくかの話に、社長さん方から熱心に耳を傾けてもらえたんです。また、将来を踏まえたアドバイスは、僕自身も楽しく行えました。
―― キャリア初期に、いい体験を。
深田 その後もそのBtoB企業とのつきあいから多くの法人を紹介いただきましたが、次に東川先生からアドバイスいただいたのは、「融資できるかできないかは、銀行に書類を提出する前、決算書を見たとき自分で判断できるようにしなさい」ということです。
東川 …。←また照れている
深田 最終的には金融機関の審査に出してみないとわからないけれど、だいたいの可能性として「これくらいの金額なら」とか「まったく借りられないだろう」など、自分が見た段階で判断できるのが大切だと。
―― 決算書で。
深田 そうです。なぜなら決算書を見たときに融資の可能性が見えたら、成功報酬で仕事を受注できるからです。
―― 着手金なしで融資サポートの受任?
深田 はい、着手金なし・成功報酬型です。「借りられなかったら何も払わなくていい」ので、経営者も気軽に依頼できますよね。着手金を払ったのに「結果ダメでした」と融資否決されるリスクを避けられます。
●「一見のお客さんなら着手金は規定するべきと僕はアドバイスしますが、
顧問先など今までおつきあいのある相手で、融資可決が明らかな案件なら着手金は不要でしょう」(東川)
「スポット業務として受任するか、顧問契約を見越したお試しとして受任するかの違いですね」(深田)
―― お試し?
深田 初めてのお客さんが、もしかして今後の顧問契約も念頭において僕に単発で資金調達を依頼するとき、かならず僕のことを観察するはずです。「深田はどんなアドバイスをするのか」「どう動いてくれるのか」などですね。また同時に僕も、そのお客さんが僕にどう接するか、お金の払い方やコンプライアンス感覚などをじっくり見ます。
―― 資金調達が出会いの「入口」かつ「お見合い」のような。
深田 はい、たとえば創業者の場合、「資金調達できました、ありがとうございました」で終わるのではなく、「次に決算して、税金を払って」という段階が待っているはずです。「税理士を探さなくちゃ」と考えたとき、「そうだ、創業時に資金調達してくれた深田がいる」と思い出して声をかけていただいています。
―― では、すでに顧問税理士がおられる会社だと?
深田 たいていの経営者は顧問税理士に税務の相談しか行わず、財務の話はしていないんですよね。税理士側も話さない。だから財務面が厳しくなったとき、今だと懇意にしている金融機関を通して僕のところに案件が来るのです。そのとき「深田は税務だけじゃなく財務アドバイスもしてくれる」ということで、スイッチしていただけたりもしました。
―― 自分の仕事ぶりを見ていただいてからの顧問契約。
深田 それが僕の望む、顧客獲得への道筋です。これだと顧問料などの価格で判断されることがないんですよ。また僕としても、自分の仕事を見てもらわないまま「税理士ってこんな感じだよね」くらいのイメージで顧問契約をいただくより、「税務だけでなく、財務面を考慮して、今後の事業まで踏まえた資金調達を提案してくれるんだ」と理解していただいてからの契約のほうがうれしいです。
―― 顧問契約は、長く続くおつきあいだから。
深田 そのとおりです。また銀行融資をいただける企業さんですから、将来の見込みがあると銀行も判断してくれているわけですよね。
―― 将来性のある法人と、自分の仕事を見てもらってからの顧問契約。
深田 税理士にとって、資金調達が「顧問先を探す入口の仕事」として適していると私が考えるのはその点ですね。資金調達だけで利益を出さなくていい、出会いのきっかけとして、お試しとしてのスポット業務です。
深田 しかし数年後にピンチが訪れました。顧問先が増え、スタッフを雇用するものの、マネジメントに時間を多く割かねばならなくなり…。
―― 深田さんにも大変な時期が。対策としては?
深田 おもに顧客の振り分けですね。契約したい顧客、そうでない顧客の明確化などです。これも東川先生に相談して…。
(顧客の振り分け? 基準は? 第5回に続きます)
深田壽税理士インタビュー(全5回)
「税理士と金融機関、どう関係を結ぶ?」
【もくじ】
1/税理士ひとりではなく、他士業とチームを組むとさらに強い
2/金融機関との交流・勉強会の運営方法
3/顧問契約しない事業者を決めておく理由
4/顧問契約に至る前の「お試し」としての資金調達業務
5/税理士って、「営業」できないから
深田壽税理士が学んだネクストフェイズのセミナーをご紹介します。
※融資に関する質問などにもその場でお答えします
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