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創業融資で協調融資を申し込む際の実務的な段取り – 民間金融機関と公庫への依頼方法

1,000万円以上の資金調達を希望する創業者を支援するなら、満額融資がかないやすい協調融資の提案をおすすめしましょう。

こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。

協調融資とは、日本政策金融公庫と民間金融機関の双方から融資を受ける仕組みのこと。とはいえ、支援者である士業・コンサルタントの立場としては、「どのように段取りを組めばよいのか」が明確でないと、創業者をスムーズに支援できません。

今日は創業融資で協調融資を申し込む際の「実務的な段取り」を、民間金融機関への事前打診も含め、士業・コンサルタント向けに整理して解説します。

参考: 創業融資を協調融資で – 民間金融機関への依頼は公庫と同時? 公庫の後?(2025年4月3日)

※なおネクストフェイズは、事業者への個別アドバイスを行っていません。ご相談のある事業者は、ネクストフェイズが運営する一般社団法人融資コンサルタント協会の会員を検索して気軽に連絡を取ってください。融資の専門研修を受けた融資コンサルタントが、全国に1,000名以上います

協調融資の全体像と支援者の役割

創業融資で協調融資を希望する場合、以下のプロセスが基本となります。

  1. 創業者と相談し、協調融資の方針を確認する
  2. 創業融資に積極的な民間金融機関に最初に打診する
  3. 民間金融機関で協調融資の了承を得る
  4. 公庫に訪問・申請を行う
  5. 両者の審査結果を待つ

このうち士業・コンサルタントのサポートがとくに有効なのが、2〜4の段階。関係機関との面談コミュニケーションについて創業者に事前レクチャーしたり、また書類準備を円滑に進めることで、創業者の信用力が高まって融資成功率の向上につながります。

まずは創業融資に積極的な民間金融機関の支店にアプローチ

最初に行うのは、民間金融機関への打診です。ここで重要なのは、創業融資に積極的な金融機関「貸付担当役席(融資責任者)」に面談を申し込むこと。一般の窓口では担当者の裁量で判断ができず最終的には貸付担当役席が決めるため、最初からキーマンに話すと時間も節約できます。

支援者としては、創業者に以下のような話し方を促すとよいでしょう。

このたび創業することにしました。創業融資を借りる必要があり、貴行(貴庫等)は創業融資に積極的だと専門家から伺ったので訪問しました。貸付担当役席の方に、融資についてご相談させていただけますか?

このような切り出し方をすれば、支店のスタンスが判断できます。

創業融資に積極的な支店ではていねいな対応が得られますが、消極的な支店だとこの段階で何かと理由をつけて相談にのってもらえない傾向があります。その場合は、粘らずに他行を検討しましょう。

支店での初回面談で確認すべきこと

創業融資に前向きな反応が得られたら、次に確認したいのが「公庫との協調融資を取り扱っているかどうか」です。

日本政策金融公庫との協調融資をお願いしたいのですが、貴行(貴庫等)は対応しておられますか?

公庫とリスクを分担できる協調融資は、民間金融機関にとっても歓迎される形です。公庫が創業融資を可決する創業者なら、いっそう安心して貸せるからです。「Yes」の回答が得られたら、次のステップへと進みます。

具体的には、必要書類を入手して創業計画書等を整える段取りに入ります。

創業計画についての内容をお伝えするための必要書類をいただけますか? そのうえであらためて、貴行(貴庫等)と公庫に依頼する金額についてご相談させていただければと思います

この段階では、書類を受け取るだけで問題ありません。提出日を約束し、その場は終了します。

2回目の支店訪問で融資の可能性を見極める

約束した日に再訪し、必要書類を提出します。支援者は創業者に、以下のような確認を取るように伝えましょう。

創業計画書にあるとおり、◯◯万円の融資が必要です。公庫との協調融資で取り組んでいただくことは可能でしょうか? また、取り組みやすい融資額のバランスがあれば教えていただけると助かります

貸付担当役席は、書類を確認しながら概ねの判断を伝えてくれるはずです。

「大丈夫」との返答が得られれば、協調融資の具体的な比率金額その場で決めましょう。このとき公庫と民間金融機関の割合を、5:5にする必要はありません。民間金融機関が示唆する数字に決めることで、審査に通る可能性は高くなります。

割合が決まれば、このように許可をいただきましょう。

それでは、公庫に◯◯万円で申請します。公庫では、貴行(貴庫等)に協調融資を依頼している旨と、担当者(貸付担当役席とは限らない)のお名前をお伝えしてもよいですか

かならず「いいですよ」という返事をもらえます。

この段階で「難しい」と言われたら出直す

一方「難しい」との回答であれば、①その理由を確認した上で②改善案を検討し、③再提案するのが得策です。

ひととおり書類を見た上で「No」を返してくる場合、融資をしてもらえる確率がたいへん低い案件だと言えるでしょう。強引に申請しても否決という結果になるだけです。 問題点を改善した上で出直せば時間も短縮でき、再申請のときには金融機関側もより親身に応援してくれるでしょう。

民間金融機関の了承後、公庫への申請へ

民間金融機関から「協調融資に取り組む用意がある」との回答を得たら、公庫への申請に移ります。インターネット申請も可能ですが、協調融資のときは店頭窓口で面談するのがスムーズです。

なお公庫への訪問は、ネットで事前に予約を取っておくことをおすすめします。 公庫のホームページから訪問日時の予約ができます。

公庫の窓口で協調融資を申し込む際には、以下のように切り出すとスムーズです。

創業融資を借りたいと考えています。○○銀行さん(または◯◯信用金庫・信用組合等)と協調融資を希望しており、◯◯万円の融資について前向きに検討いただいています。残りの金額について、公庫でお願いできますか?

公庫と民間金融機関の割合について、よほどバランスが悪い場合は別ですが、たいていは希望した割合を認めてくれます。

また公庫は「民間金融機関を補完する役割」を担っており、このように具体的な民間金融機関の協力体制が示されると、前向きに対応してもらえる可能性が高まります。だからこそ民間金融機関への事前打診が有効なのです。

申請時には、公庫に対して協調融資先の金融機関名および担当者名を伝えても問題ありません。

創業融資の支援者としての価値が高まる「協調融資」提案

創業融資は準備と段取りさえ整えておけば、そう難しいプロセスではありません。しかし一方、協調融資の段取りを提案・支援できる士業・コンサルタントは、まだ少数派。その分、差別化がしやすく、創業者からの信頼獲得にもつながります。

協調融資は、要点を押さえた準備と的確な段取りによって、十分に実現可能な選択肢となります。創業者の資金調達力を高めるためにも、上でお話ししたステップを参考に、支援スキルを磨いてください。

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