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金融機関を見極める情報の入手方法-ディスクロージャー誌

金融機関のディスクロージャー誌をご存じですか。事業者は知らなくても、事業者をサポートする士業・コンサルタントには、ぜひ一読していただきたい冊子です。

こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。

金融機関の情報を入手すれば、その金融機関が安全かどうかを判断できます。しかし、どのように入手すればいいのでしょう? 金融機関の財務情報入手には、「ディスクロージャー誌を手に入れる」のが一番簡単な方法ではないかと私は考えています。
 

各銀行のディスクロージャー誌

銀行・信用金庫・信用組合等の金融機関は、銀行法や信用金庫法等の法律に基づき、半期ごとに経営内容や財務状況に関する資料の作成・公開を義務付けられています。ディスクロージャー誌とは、そのような「金融機関が経営内容や財務状況を開示した冊子」です。

ディスクロージャー誌では、金融機関の「収益性」「健全性」が公表されています。内容を確認することで、利用者は当該金融機関の業績やリスク等を把握することができます。

ディスクロージャー誌が誕生した背景

1998年から2002年にかけて日本で多くの金融機関が破綻したころ、多くの利用者は取引している金融機関の経営状況を把握できていませんでした。そのため、取引金融機関が破綻して初めて「あの金融機関は危なかったのだ」と知ったのです。

今後同じことを防ぐため、国は銀行法や信用金庫法等の法律で金融機関に対し以下を定めました。

業務及び財産の状況に関する事項として内閣府令で定めるものを記載した当該事業年度の中間事業年度に係る説明書類及び当該事業年度に係る説明書類を作成したうえで、当該金融機関等の営業所に備え付け公衆の縦覧に供しなければならない。

●銀行法(e-GOV法令検索)の第21条

 

ディスクロージャー誌に書かれている内容

銀行法・信用金庫法・協同組合による金融事業に関する法律で、ディスクロージャー誌に記載すべき項目が定められています。以下は、その主な内容です。

・経営組織
・大株主の状況
・取締役・監査役・執行役・会計参与の氏名・役職名
・営業所の名称・所在地
・銀行代理業者の名称・所在地等
・主要な業務内容、事業概況
・直近の5年間、もしくは中間期を含む直近の2年半における以下の事項
・経常収益
・経常利益
・当期純利益(中間純利益)
・資本金・発行済株式数
・純資産額・総資産額
・預金残高・貸出金残高・有価証券残高
・単体自己資本比率
・配当性向
・従業員数
・リスク管理・法令遵守(コンプライアンス)体制
・直近の2年間における以下の事項
・貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書
・破綻先債権・延滞債権・貸出条件緩和債権等(いわゆる不良債権)の情報
・貸倒引当金の期末残高及び期中の増減額
・事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象がある場合はその内容

 
そのほか、金融機関が「積極的に開示したい」内容が記載されています。上には記載されていませんが、地方銀行・第二地方銀行・信用金庫・信用組合のディスクロージャー誌には、以下が記載されていることがよくあります。

・中小企業の経営支援状況
・金融仲介の取組状況
・「経営者保証に関するガイドライン」への取組 等

 
これは実に興味深い情報だといえるでしょう。中小企業支援の姿勢が見えるからです。詳しくは後述しましょう。
 

ディスクロージャー誌の内容はホームページでも手に入る

ディスクロージャー誌は、各金融機関の営業所に備え付け、「公衆の縦覧に供しなければならない」と法律で定められています。あなたも、店頭の待合にあるマガジンラックに置かれているのを目にしたことがあるかもしれません。

また銀行等の各支店・営業所の店頭で、希望者に無料配布されていることもよくあります。金融機関の店頭で「ディスクロージャー誌をいただけますか」と言えば、とくに何も尋ねられることなく配布してくれるでしょう。さらに、郵送等に応じるところも少なくありません。

ネクストフェイズの過去記事も参考にご覧ください。

質問「金融機関からディスクロージャー誌をもらう方法は?」

一方、一定の条件を満たす場合には「紙に代えてPDFファイル等の電磁的記録による提供を行うことも可能である」とされています。そこで多くの金融機関は、ディスクロージャー誌の内容をホームページでも公開しています。
 

ディスクロージャー誌で融資方針もわかる

ディスクロージャー誌を見る大きな目的は、取引金融機関のリスクを見極めるためでしょう。しかし、別の重要な情報も入手できます。「金融機関の融資方針」です。

ディスクロージャー誌には「中小企業の経営支援状況」「金融仲介の取組状況」「経営者保証に関するガイドラインへの取組」等が記載されている金融機関が多いと先述しました。これらの情報で、中小企業支援のために「何に力点を置いているか」が見えてきます。

例)
「創業融資」に力を入れているか?
●「信用保証協会の保証つき融資」に積極的に取り組んでいるか?
●「経営者保証解除」「経営者保証免除」をしてくれやすい金融機関か?
●審査方針は「担保重視」か、「事業性重視」か? など

 
「中小企業の経営支援状況」「金融仲介の取組状況」「経営者保証に関するガイドラインへの取組」等を見れば、どのような融資方針で経営を行っているのか、ある程度の予想がつきます。新たな金融機関開拓が必要な事業者を支援する士業・コンサルタントにとって、大いに参考にできるページでしょう。
 

ディスクロージャー誌以外での金融機関情報の入手方法

ひとつのディスクロージャー誌からはその金融機関の情報しか把握できませんが、多くの金融機関を比較するには、ビジネス誌も有用でしょう。

「週刊ダイヤモンド」「週刊東洋経済」「週刊エコノミスト」等では、雑誌やオンライン上で定期的に金融機関特集を行っています。これらの記事で、金融機関のリスクや将来性を比較するのも一案です。

●週刊ダイヤモンド2023年3月4日号「地方銀行 メガバンク 信金・信組」

●ダイヤモンドオンライン「全国254信用金庫・独自「格付け」ランキング」(2023.2.17)

●週刊エコノミスト2023年 1/24号「特集:本当に強い信用金庫」

●ダイヤモンドオンライン「銀行「危険度」ランキング2022」(2022.7.11)

●東洋経済オンライン「全国地銀99行「衰弱度」総合ワーストランキング」(2022/06/13 、記事途中から有料会員限定)

●東洋経済「瀬戸際の銀行」2022年6月11日号


私は所属先の金融機関の破綻を経験した身なので、「現在の日本で金融機関破綻はあり得ない」と信じたいと強く思っています。しかし物事には「絶対」はありません。普段からのリスクマネジメントは重要です。

取引金融機関が破綻しなくても、「あの金融機関は危ない」と噂が出るだけでその金融機関は確実に融資を絞ってきます。事業者側の経営内容に問題がなくても、金融機関側の事情で融資が渋くなることが大いにあり得るのです。だからこそ「複数の金融機関との取引」が必要です。

取引金融機関から融資をしてもらえないと「わかってから」他の金融機関にいきなり依頼しても、まともに相手をしてもらえないでしょう。融資を依頼するには、日ごろからのつきあいが必要不可欠。

中小・零細企業の支援を行う士業・コンサルタントが、顧客と一緒になって「積極的に融資に取り組んでくれる金融機関を開拓する方法」に関するヒントが手に入るセミナーです。

※融資に関する質問などにもその場でお答えします

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