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強みを打ち出しても相談が来ない士業・コンサルタントへ – 経営者の悩みに合わせた「自分の強みの言い換え」方法

専門性の高い「強み」を持っていても、その伝え方によって顧客獲得の成否は大きく分かれます。経営者から「今すぐ相談したい」と思われる強みの伝え方と、そこから本業へとつなげる顧客開拓のステップを解説します。

【この記事のポイント(要約)】

  • 専門用語のままでは経営者に届かない:
    「経営改善」「財務支援」といった抽象的な言葉は、経営者が抱える日常の切実な悩みと結びつきにくいため、相談・問い合わせに直結しづらいものです。
  • 経営者の「脳内のつぶやき」に翻訳する:
    「今月はいいが3ヶ月先が厳しい」「銀行にどう説明すればいいか」など、経営者のリアルな言葉や困りごとに合わせた言い換えが顧客開拓のカギです。
  • 相談しやすい「融資支援」を入口に本業へつなげる:
    資金調達という経営者が自覚しやすいテーマで接点をつくり、会社の数字や計画を把握したうえで本来の専門業務(税務・経営改善・許認可など)へと広げます。

士業・コンサルタントの顧客開拓について調べていると、「強み」「差別化」について、こんなアドバイスをよく見かけます。

  • 「自分の強みを明確にしましょう」
  • 「他の専門家との違いを打ち出しましょう」

これらは、ネクストフェイズのブログでもよく書いていることです。たしかに数多くの士業・コンサルタントの中から選んでもらうためには、自分の強みを伝えることは欠かせません。しかし、あなたはどのように「表現」していますか?

  • 「経営改善に強い」
  • 「経営者への伴走支援が得意」
  • 「事業計画の作成をサポートできる」
  • 「財務面から経営を支援できる」

これらの言葉を名刺、ホームページ、SNSのプロフィールなどで熱心にアピールしている方も多いでしょう。ところが上記のとおり強みをきちんと打ち出しているはずなのに、思ったほど相談や紹介、問い合わせにつながらないという声が聞かれます。

その原因の1つにあるのが、「経営者の脳内言語とのズレ」です。

中小企業の経営者にとってピンとくる表現と、必要性を感じにくい抽象的な専門用語。この違いを理解し、相手の悩みに合わせた「言葉の翻訳」を行うことで、持っている専門性を活かしながら見込み客との接点を増やし、安定した顧客獲得へとつなげやすくなります。

以下では税理士、中小企業診断士、行政書士など資格別の「言い換え例」を挙げながらお話ししましょう。

経営者の脳内言語に合わせて自分の強みを「言い換え」てみよう

「経営改善に強い」「経営者への伴走支援が得意」「財務面から経営を支援できる」…。

こうした強みは中小企業を支援するうえで、間違いなく大きな価値があります。実際に支援を受けた経営者から高く評価され、長期的な顧問契約や継続案件につながることも多いはずです。

ただ、まだあなたを知らない経営者が、自発的に次のように考える機会はそれほど多くありません。

  • 「経営改善について専門家に相談しよう」
  • 「伴走支援をしてくれる人を探そう」
  • 「財務支援をしてくれる専門家を探そう」

なぜなら「経営改善」「伴走支援」「財務支援」という専門用語は意味する範囲が広すぎて、経営者が日々直面している切実な悩みと結びつきにくいからです。

経営者の頭の中にあるのは「リアルな困りごと」

経営者が実際に頭を抱えているのは、もっと具体的で切迫した状況です。

  • 「今月の支払いは何とかなるが、3ヶ月先は厳しいかもしれない…」
  • 「新しい設備を入れたいが、銀行が融資してくれるか不安だ」
  • 「決算書では黒字になっているのに、なぜか通帳にお金が残らない」 など…

こうした悩みを抱える経営者が、自ら「これは『財務支援』や『経営改善』が必要な課題だ」と専門用語に置き換えて相談先を探すケースはほとんどありません。

そのため専門家としてどんなに優れた能力を持っていても、専門用語のままアピールしてしまうと、経営者のアンテナに引っかからず、顧客獲得のチャンスを逃してしまいます。

一方、相談につながりやすいのは、経営者が「まさに今、自分に必要なことだ」と直感できる場面です。

  • 「会社を設立したので、税務を任せたい」
  • 「飲食店を始めるので、営業許可を取りたい」
  • 「設備を導入するので、補助金を申請したい」 など…

このように経営者自身が「相談する場面や出来事」をはっきり認識できていれば、その分野の専門家を探す行動へダイレクトにつながります。

士業・コンサルタントが新規の顧客開拓を考えるときは、以下の2つの視点を一致させることが重要です。

  • 「自分は何が得意なのか」(専門家目線)
  • 「経営者は、どんな困りごとのときに、それを必要とするのか」(経営者目線)

経営者の「脳内のつぶやき」に合わせた強みの言い換え(ビフォー/アフター)

強みを相談や案件獲得につなげるコツは、経営者が「どんなときに相談すればいいのか」を頭の中にありありとイメージできるように翻訳することです。

看板(キャッチコピー)として提示する際も、専門用語をそのまま置くのではなく、経営者が心の中でつぶやいている「リアルな悩み」に対応する形へと言い換えます。

専門家目線の強み
(ビフォー)
経営者の脳内のつぶやき
(リアルな悩み)
相談につながる打ち出し方
(アフター)
財務支援に強い「今月の支払いは乗り切れたが、3ヶ月後の納税時にショートしそうで不安…」「3ヶ月先の資金ショートを防ぐ、先行資金繰りシミュレーション」
事業計画の策定が得意「新しい機械を入れれば売上は伸びるはずだが、銀行にどう説明すれば融資を承認してくれるか分からない…」「銀行が納得して融資したくなる、設備投資のための事業計画づくり」
経営改善・伴走支援「売上は上がっているし利益も出ているはずなのに、なぜか通帳の残高が毎月目減りしている…」「『利益は出ているのに通帳にお金が残らない』原因を突き止める財務整理」

このように、経営者の日常の悩みや「相談が発生する場面」に合わせて言葉をチューニングするだけで、同じ専門性でも相談の引きの強さがまったく変わってきます。

最も相談のきっかけになりやすいのは「お金が必要になったとき」

経営者が専門家に相談したくなる場面の中で、最も分かりやすく、かつ日常的に発生するのが「お金が必要になったとき(資金需要)」です。

  • 「新しい設備を導入したい」
  • 「新店舗を出店したい」
  • 「新規事業の立ち上げ資金を確保したい」

こうしたタイミングでは、経営者自身が資金調達の必要性を痛烈に自覚しています。ここで「融資・資金調達に強い」という看板を掲げていれば、経営者から真っ先に相談される存在になれます。

では、融資支援をきっかけにして相談を受けると、士業・コンサルタントの仕事はどのように広がっていくのでしょうか。

融資支援を「最初の相談窓口」にすると本来の得意分野へ仕事が広がる

たとえば、顧客の経営者から、こう相談されたとしましょう。

経営者

500万円の機械を購入したいのですが、金融機関から融資を受けられるでしょうか?

融資支援の知識があれば、機械を購入する目的、導入後の売上・利益見込み、現在の借入残高や返済額、直近の決算書や試算表の推移、今後の資金繰りなどをヒアリングし、融資可能性を検討できます。そのうえで、どの金融機関に打診し、どのような資料を用意して説明すべきかを一緒に準備していきます。

融資の相談を受けると、企業の決算書はもちろん、将来の事業計画や組織の課題、社長の経営方針まで、会社の根幹に関わるあらゆる情報が自然と手に入ります。その過程で経営者が抱えている「別の課題」も見えてくるため、あなたが本来得意とする専門分野へ仕事を広げることが可能になるのです。

【資格・職種別】融資支援をきっかけにした顧客獲得・業務展開例

資格・専門分野融資支援をきっかけに広がる業務展開
税理士・会計事務所月次の試算表チェックや資金繰り表作成など、顧問料アップにつながる「本格的な財務支援・MAS業務」へ発展
中小企業診断士融資に必要な数値を根拠とした「事業計画書策定支援」「経営改善計画の策定・実行支援」へ発展
行政書士新店舗出店や設備投資に伴う「各種許認可の申請代行」「設備導入向け補助金申請支援」へ発展
財務・経営コンサルタントメインバンクとの関係構築、借入金の適正化、将来の資金需要に備える「継続的な財務顧問契約」へ発展

融資の相談は、経営者の深い悩みを聞き出せる絶好の機会です。「融資・資金調達に強い」という伝わりやすい強みで接点をつくり、信頼を得たうえで、あなたがもともと持っている高度な専門業務へと導いていく。これが、士業・コンサルタントが無理なく顧客獲得を広げていくための実践的なステップです。

よくある質問(Q&A)

Q1. 「経営者の脳内のつぶやき」と言われても、自分ではうまい言い換えが思いつきません。どうすれば見つけられますか?

A1. 専門用語からの言い換えは、頭の中でゼロから考える必要はありません。一番の近道は、「既存の顧客や過去の相談者が、最初の面談や雑談で実際に口にしたセリフ」をそのまま使うことです。「先生、今月は何とかなるが、半年先が不安で…」「銀行にどう話せばいいか分からなくて」といった、経営者の口から出た生々しい言葉こそが、他の経営者にも最も響く表現になります。

Q2. 言い換えた具体的なフレーズは、ホームページや名刺のどこに記載すべきですか?

A2. 資格名や既存の肩書きを無理に変える必要はありません。名刺なら肩書きの上のサブキャッチとして、ホームページならトップページのメインコピーや、「このようなお悩みはありませんか?」といった相談窓口のチェック項目として配置するのが効果的です。経営者が「自分のことが書いてある」と気づく場所に置くのがポイントです。

Q3. 困りごとに合わせて言葉を具体化すると、小さな相談ばかり増えて本業から遠ざかりませんか?

A3. 遠ざかるどころか、むしろ本業へ直結します。たとえば資金繰りや融資の相談を受けると、直近の試算表や決算書、今後の経営計画などを必ず確認することになります。課題の根底に触れる過程で、税務顧問の見直し、本格的な財務分析、経営改善計画の策定といった、あなたが本来得意とする専門業務へ自然とつなげることができます。

顧客から選ばれるための「融資支援力」を身につけるには

  • 「融資支援が顧客開拓の武器になることは分かったが、銀行出身でもない自分にできるだろうか」
  • 「経営者から何を聞き、決算書のどこを見て、どんな資料を用意すればいいのか分からない」

そのように不安を感じる士業・コンサルタントの方も多いと思います。しかし、融資支援の実務で求められるのは、金融機関の特別な裏ルートではなく、「金融機関が融資審査で重視するポイントを知り、経営者の状況を正しく橋渡しするノウハウ」です。

ネクストフェイズは、融資支援の基本的な考え方から相談時のヒアリング項目、金融機関との対話方法まで、現場ですぐに活かせる実務知識を体系的にお伝えする「融資支援ノウハウ習得セミナー」を開催しています。

経営者からの資金相談に自信を持って応えられるようになりたい、「融資・資金調達」を自分の事務所の分かりやすい強みとして加えたい、そんな士業・コンサルタントに強くおすすめします。

【ご案内】融資支援ノウハウ習得セミナー

顧客から融資の相談を受けたときの初動対応から、金融機関が納得する資料づくりの勘所まで、具体的な事例を交えてわかりやすく解説します。

※顧客の融資に関する個別質問などにもその場でお答えします

この記事の著者

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東川 仁

株式会社ネクストフェイズ 代表/中小企業診断士/一般社団法人融資コンサルタント協会 代表理事
士業・コンサルタント向けに、銀行融資の支援、金融機関との関係づくりをテーマとした研修・セミナーを実施。

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