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融資支援でAIにできること・できないことリスト – 現場で効率的に使いこなす

AIの回答そのままに融資支援をする士業・コンサルタントは少ないと思いますが、もちろんAIを使っても融資が通らないケースは多いものです。

こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。

ネクストフェイズの過去ブログ「融資相談にAIは使えるのか?」で、AIが融資現場で通用しない理由と対応法をお伝えしましたが、融資支援にAIがまったく使えないわけではありません。

今回は、融資支援でAIを活用する際に押さえておきたいポイントについてお伝えします。頼っていいこと、頼れないこと、そのリストを挙げましょう。

AIを使えば融資支援はできるのか

ときおり「AIを活用して融資支援を行う」という話を耳にします。現在のAIの進化を見るとそれも可能ではないかと感じる方もいるかもしれません。

結論から言うと、AIだけで融資支援ができるようになるわけではありません。しかし使い方を間違えなければ、業務の質とスピードを高める強力なツールになるのは事実です。

重要なのは、「何をAIに任せて、何を自分で判断するのか」の線引きを理解しておくことです。

融資支援においてAIができること

AIが力を発揮するのは、情報の言語化と構造化です。以下はいずれも情報を整理し、伝わる形に変換する作業です。

  • 経営者へのヒアリング内容の要点整理
  • 簡易的財務分析の補助
  • 事業計画書のたたき台作成
  • 金融機関向けの説明文の言い換え

金融機関の担当者は、内容そのものだけでなく、その結論に至った根拠が無理なく説明されているかを見ています。

同じ内容であっても、伝え方が変わるだけで評価が変わる場面は少なくありません。AIは、この「伝わる形」に短時間で持っていく点で効果を発揮します。

融資支援でAIができないこと

一方で、融資が通るかどうかは、さまざまな要素が影響します。AIは一般論としての回答はできますが、支店ごとの方針の違いや担当者の力量差、地域ごとの温度感といった、現場特有の差までは反映できません。

以下のポイントは、金融機関の考え方現場の動きを日頃から観察しておかないと判断に迷いがちです。

  • そもそもこの案件は通るのか
    (支援する価値があるか)
  • どの金融機関に持ち込むべきか
    (メインバンクのある/なし、日常のつきあい、残債、公庫、新しい金融機関など)
  • どの情報をどのタイミングで出すか、どこまで説明するか
    ※たとえば前期が赤字でも金融機関側が納得できる理由があるケースがあります。また税金滞納の扱いも現在の状況によっては金融機関の見方がまったく変わります。「隠してはいけないから最初から全部説明しよう」ではなく、状況整理と適切な順番が重要です
  • 担当者レベルで進めるのか、上席を巻き込むのか
    ※たとえば債務超過、創業2期未満、1,000万円以上の大型案件などは担当者単独では判断できないことが多く、早い段階で支店長や融資課長を巻き込む必要が出てきます。しかし経営者と銀行との日常のつきあいによってはそれも変わってくるケースが多数

また企業と金融機関との親密度も、顧客の話ばかり聞いて「うまくいっている」と支援する自分は判断しても、金融機関側は「あまりつきあいがない」と判断している「片思い」事例は、それこそ枚挙に暇がありません。

AI活用で起きやすいズレ3点

AIを使って融資支援を進めると、現場ではズレが起きやすくなります。これらは、案件の見極め進め方を誤ったことで起きているものです。大きく分けて3点お伝えしましょう。

書類はキレイだが担当者の反応が薄い

たとえば見た目はきれいにまとまった事業計画を持っていっても、担当者の反応が薄く、そのまま話が進まないケースがあります。内容が悪いわけではなく、金融機関が見ているポイントとズレているためです。

たとえば担当者から返ってくる言葉が「なるほど」「一度持ち帰ります」「そうなんですね」「検討してみます」 等で終わり、必要資料の具体的指示がない、次回面談日程の話が出ない 、稟議の段取り説明が返って来ません。

「形式は整っているが、融資判断に必要なポイントが見えていない」ので、担当者も決定的な動きに移行しにくいのですね。(そして案件が止まる…)

相手が尋ねたいことに答えられず案件が止まる

説明自体はできているのに、話をしているうちに担当者とのやりとりがかみ合わなくなり、途中で話が止まってしまうこともあります。どこに引っかかっているのかが分からないまま、時間だけが過ぎていきます。

これは「経営者側は説明しているつもりだが、金融機関側が知りたい答えになっていない」状態だといえるでしょう。

たとえば担当者は「なぜ利益が減ったのか?」を聞いているのに、経営者側が、AIで整理した説明資料を使って業界動向、人材不足、将来ビジョン等の説明に終始すると、本当に確認したい回答が得られません。

こういうとき担当者は、「粗利率低下なのか、原価上昇なのか 、値下げなのか、一時要因なのか」を知りたいのです。そう実際に尋ねても、借り手側が資料に書いてあることの繰り返すだけだと、担当者は「結局、何が原因なんだろう」「納得できる理由をいただけなかった」まま支店に持ち帰り、内部での上席への説明ができなくなります。(そしてこの案件も止まる…)

そもそも通らない案件に時間と手間をかけることになる

さらに、本来は通らない案件に時間をかけてしまい、資料を何度出し直しても担当者からは前向きな反応がなく、追加資料の依頼だけが続いたまま話が進まなくなってしまうこともあります。

たとえば、資金繰りがかなり厳しい、税金未納あり、返済余力も弱い…など本音ではかなり厳しい案件でも、金融機関側はすぐに「無理です」とは言わないことがあるのです。

そのため、「試算表ください 」「資金繰り表ください 」「売掛一覧ください 」「納税資料ください 」と追加依頼が続くものの、それらは「前向きな検討のため」というより、「財務がどこまで悪いのか確認」「否決理由を整理」「上席説明材料を集めている 」段階になっているケースがあります。担当者自身に「その場で断る権限」がないことが多いんですね。

「これは前向きな追加依頼なのか」、それとも「実質的な見送り前提なのか」を、担当者の温度感から判断できればいいのですが、経営者には無理な相談ですし、AIにも判断できません。

一方、もちろん「どこまでなら可能性があるか」を探るため追加資料を求めてくることがある点が厄介なところ。「追加資料依頼=融資に前向き」とは限らず、しかしながら「前向きであるからこそ求められる」こともある。ここは要注意ポイントです。

融資支援でAIを活かすための考え方

融資支援は、単に資料を作る仕事ではありません。案件を見極めながら、どのように進めるかを考え、金融機関に評価される形に持っていく必要があります。その前提で考えると、上でお知らせしたようにAIに任せられる部分と、任せられない部分がはっきりしてきます。

実際にはAIに相談しながら進めるうちに、方向性の判断まで任せてしまっているケースも少なくありません。しかし初期段階での案件の見極め、また進め方の判断は、人が行う必要があります。

一方で、情報のまとめ方金融機関への説明の仕方などはAIが得意とする領域です。

そのため判断や進め方の方向性は自分、そのうえで情報整理や説明方法をAIに任せる、という使い分けをおすすめします。この使い分けができれば、融資支援業務を大きく効率化できます。

AI時代の融資支援に求められる専門家の役割

AIの普及によって、情報整理資料作成などの作業は、今後ますます効率化が進んでいきます。

一方で現場ではすでに「資料は整っているのに通らない」というケースが増えています。結果に差が出るのは、案件の見極め、進め方、そして金融機関との関係構築など「人の目が必要」な部分です。

現在ネクストフェイズが開催している「融資支援ノウハウ習得セミナー」では、金融機関が案件を見る視点担当者が動きやすくなる進め方などを、現場の事例をもとにお伝えしています。

AIを活用するかどうかにかかわらず、融資支援ノウハウを実務レベルで身につけたい方にとっては、そのまま現場で使える内容として重宝していただけるでしょう。

融資支援に取り組むうえで必要となる「判断」と「進め方」をひととおり把握したい士業・コンサルタントは、一度ぜひセミナー内容をご確認ください。

※顧客の融資に関する個別質問などにもその場でお答えします

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