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士業のための【自主セミナー開催マニュアル③】-ターゲットの決定

企画のポイントをおさえれば、見込み客となる受講者はかならず興味を持ってくれます。

こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。

「自主セミナーで顧客獲得」と考える士業・コンサルタントのために、当時のことを思い出し、また20年以上の自主セミナー開催の経験を加味した「士業のための自主セミナー開催の方法」についてお伝えする「士業のための【自主セミナー開催マニュアル】」の第3回です。

3回目は、「ターゲットの決定」を解説します。

「情報提供型セミナー」と「顧客獲得型セミナー」は違う

セミナーには、2種類あります。

  • 情報提供型セミナー
  • 顧客獲得型セミナー

「情報提供型セミナー」は、受講者に役立つ情報を伝えるのが目的。一般的なセミナーが、これにあたります。

対して「顧客獲得型セミナー」は、受講者を自分の顧客・クライアントにするのが目的。士業・コンサルタントが行う自主セミナーのほとんどがそうでしょう。

セミナーの種類目的
情報提供型受講者に役立つ情報を伝える
顧客獲得型受講者を自分の顧客・クライアントにする

顧客獲得が目的なのに、情報提供型セミナーを行う事例をしばしば目にします。せっかく時間をかけて準備したセミナーを開催しても目的=顧客獲得を達成できず、「セミナーは顧客獲得には無駄」、または「セミナーは自分に向いていない」と早々に結論づける人もいるでしょう。

果ては「受講者の知識レベルが低く、とうてい自分の顧客ではない」「セミナー受講さえすれば悩み全部が解決できると思い込んでいる」などと頓珍漢な結論に至る士業・コンサルタントの声を耳にしたこともあります。それはご自身が想定する受講者を集められなかっただけでは… ←小声

しかし顧客獲得が目的なら、情報提供型ではなく、顧客獲得型セミナーを意識して設計すればいいのです。顧客獲得型セミナーは、企画こそ「生命線」。企画さえ適切なら、受講者は見込み客になってくれます。

あなた自身が集めた受講者を信じましょう。そのために、信じるに足る顧客を具体的に、具体的に、より具体的にイメージすることから、もういちどセミナー企画を始めてみませんか。

誰を集めたいのか(ターゲット)を決める

まず考えたいのが、誰を集めたいのか=ターゲットを決めること。見込み客となり得ない受講者を多く集めても意味がありません。来てほしい受講者(ターゲット)明確にするのが大切です。

集客に重要なことは、「見込み客のニーズに合ったセミナー内容」にすること。ニーズに合わないセミナーを受講する見込み客はいませんから、ターゲットが明確になればそのニーズも想像しやすくなるでしょう。

ターゲット決定で重要視したい「絞り込み」

ネクストフェイズが運営する一般社団法人融資コンサルタント協会の会員士業・コンサルタントから自主セミナーに関する相談があると、私は最初にターゲットを尋ねます。多くの回答は、「中小企業経営者です」とのみ。しかし残念ながら「中小企業経営者」だけでは、広すぎるのです。

中小企業経営者が持つ悩みは、多岐にわたります。時間と費用を投じてセミナー受講するのは、その悩みを解決したいから。しかしターゲットを広く想定すると、参加者全員に「刺さる」内容のセミナーを作れません。一般的で無難なカリキュラムに終始し、受講者の満足度が上がりにくいのです。ぜひセミナーの内容として、「絞り込んだ悩み」を想定しましょう。

絞り込むために考慮するポイントは、ターゲットの①抱えている悩み、②属性情報、③知識レベルの3点です。

①抱えている悩み

先述のようにターゲットにはさまざまな悩みがあり、その解決というニーズに動かされてセミナー受講を決めます。悩みを解決できる情報が得られるセミナーにこそ、見込み客が集まるのです。

一方、士業・コンサルタントは、資格・これまでの経験によって「持ち場」「強み」が違います。また先々を考えて「これから注力したい分野」もあるでしょう。まず自分の力や希望の洗い出し・棚卸しを(この時点ではざっくりでいい)行って、その力で解決できる悩みをピックアップしましょう。

以下は本当に大まかな例です。自分の状況によって、さまざまな事業者像が浮かぶでしょう。

あなたの資格・経験・今後の希望その力が解決できる悩みを持つ事業者
独立開業したばかりの税理士まだ顧問税理士を持っていない新規事業者
行政書士の今後の市場を考えて外国人の雇用を考えている事業者
製造系補助金申請支援に強いから新規事業に熱心な製造業の事業者
元・銀行員だから財務担当がいない/資金繰りに悩む事業者
ECサイトの販促に強いからEC展開中/検討中の事業者
ITが得意だから人材不足でDXを進めたい事業者
人材採用の知見があるから採用広告を出し続けている(=人が来ない)事業者

セミナーの内容やテーマは、ターゲットが抱えている悩みに左右されます。その悩みを詳細に知るには、ターゲット層に属する既存顧客・知人・友人に尋ねる、取材するのがいちばんです。もし心あたりがいなければネットを駆使して情報収集しましょう。

②属性情報

属性情報とは、ターゲットが持っている性質や特徴。特性データです。

上述①事業者の悩みを深掘りすれば自然とイメージできそうですが、たとえば以下の項目を絞ったり、または逆に膨らませたりすることで、より受講者の満足度の高い(=信頼を得られる)、より目的(=受講者に見込み客になってもらう)に沿ったセミナー企画を立案できます。

  • 経営者の年齢・性別
  • 地域
  • 業種(○○業 など)
  • 業態(小売業ならスーパー、EC など)
  • 年商
  • 規模(支店数 など)

③知識・経験レベル

同じ属性、同じ悩みを抱えていても、悩みに関する知識・経験値によって、参加者が必要とする情報は変わります。知識・経験値が高いターゲットとそうでない場合、カリキュラムは自ずから違ってくるでしょう。

自分が求めるターゲットのレベルを見極めてカリキュラムを設計すれば、「知っていることばかり」「難しすぎた」などの不満が出ずセミナー満足度が上がり、その後の業務・案件依頼につながりやすいのです。

このように、参加者に興味を持ってもらって信頼を得るセミナーを企画する重要点は、何よりもターゲットの明確化。企画の初期段階で十分に時間を取り、できるだけ掘り下げて詳細に考えるようにしましょう。


見込み客獲得にセミナーが大きな効力を発するテーマのひとつが、創業者向け「創業融資獲得」です。

創業に必要な資金を、全額自己資金で準備できている創業者はごく少数。必要資金総額に対する自己資金の割合は、平均で2割~3割に留まります。つまり夢の実現に、融資を必要とする創業者のほうが多数派なのです。

とはいえ創業者の9割以上は、創業融資を借りた経験がありません。創業のために融資はほぼ必須ですから、「確実に」「希望の満額」と考える創業者は、創業融資に詳しい専門家に支援を依頼します。

ちなみに、創業融資の見込み客リストは簡単に入手できます。あとは適切なアプローチ、そして創業融資ならではの実務です。

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