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令和9年度概算要求 – 顧客企業の成長ステージに合わせて士業・コンサルタントから提案したい補助金4選

令和9年度(2027年度)の経済産業省概算要求案が公表されました。(参考:経済産業省「令和9年度 経済産業省関係 概算要求等概要」
※上記のリンク先資料は大量なので、これから説明する各補助金については、該当ページに直接飛ぶリンクを貼っています

その内容を紐解くと、省力化、AI・デジタル化、新事業進出、M&A・事業承継など、中小企業の「成長投資」を強力に後押しする方針が鮮明に打ち出されています。

しかしここで士業・コンサルタントが意識しておきたいのは、「どの補助金が報酬につながりやすく稼ぎやすいか」という視点ではありません。たとえば採択率の高さ、また補助金上限額に左右されることなく、です。(その気持ちはよくわかりますが…)

なぜなら補助金は、支援者自身が狙うものではなく、顧問先や顧客企業の課題・成長ステージに合わせて適切に提案し、企業の未来を拓くための手段だからです。

長年続いてきた「単なる申請書の代行作成」は、生成AIの進化によって急速に価値を失いつつあります。これからの士業・コンサルタントに求められるのは、「あなたの顧問先が抱える課題や目指す規模感なら、この補助金と融資を組み合わせて成長を描きましょう」と提案できる総合力です。

本記事では、令和9年度の概算要求案から読み解く「顧客企業の状況別・おすすめ補助金4選」と、採択率などのデータ、そして補助金支援を顧問契約・本業の拡大へつなげるポイントを整理して解説します。

注目4大補助金の比較一覧

まずは、今回注目の4大補助金の予算規模、対象企業、および直近の採択率の目安を整理しました。

補助金・事業名概算要求額対象となる主な課題・企業規模直近の類似公募 採択率(目安)提案のしやすさ・特徴
省力化・デジタル化・AI投資補助金3,746億円人手不足、業務効率化、DX・AI導入を進めたい中小全般約65.6%
(省力化一般型 累計)
幅広い業種に提案しやすく、採択率も高水準。最優先で検討できる。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助事業2,200億円売上高1億〜10億円を目指し、新市場や新製品開発に挑む企業約35%
(新事業進出 / ものづくり)
「10億宣言」企業向け。金融機関との協調(融資)が採択の重要キー。
M&A・事業承継補助金200億円後継者不在、事業譲渡、PMI(統合プロセス)に取り組む企業約60.7%
(直近14次公募)
採択率が高く、補助金「後」の法務・税務・組織づくりなど士業の本領を発揮しやすい。
中小企業成長加速化補助金2,350億円売上高100億円超を目指す、大型成長投資を行う中堅・中小約16〜25%
(第1次・第2次公募)
ハードルは高いが投資規模大(経費中央値11億円)。大型融資支援が必須。

※上記は令和9年度概算要求段階の情報に基づきます。今後の国会審議や制度設計により変更となる可能性があります

課題・規模別に見るおすすめ補助金

【課題1】人手不足解消・業務効率化を進めたい企業へ

省力化・デジタル化・AI投資補助金(概算要求:3,746億円)

  • どんな企業に勧めるべきか:
    飲食・宿泊・小売・建設・運送・製造など、業界を問わず「採用が難しく既存業務を効率化したい」「人が行っている作業を自動化・AI化したい」と悩む全顧客。
  • 提案のポイント:
    現在の省力化投資補助金(一般型)の累計採択率は約65.6%(3社に2社が採択)と非常に高い水準です。採択実績を出しやすく、顧問先との信頼構築の第一歩として極めて提案しやすい制度です。

私が個人的に注目しているのが、この補助金です。人手不足に悩んでいる企業や、人が行っている作業を設備で省力化できる企業、AIやシステムを使って業務を効率化できる企業など、顧問先の課題から案件を見つけることができるといえるでしょう。

業種も、製造業、建設業、運送業、卸売業、小売業、宿泊業、飲食業、サービス業など、幅広い企業が対象となる可能性があります。顧問先から案件を見つけやすいという点でも、令和9年度に最優先で押さえておきたい補助金だと考えています。

【課題2】年商1億から10億円を目指す成長企業へ

新事業進出・ものづくり商業サービス補助事業(概算要求:2,200億円)

  • どんな企業に勧めるべきか:
    既存事業の基盤ができ、新市場開拓、高付加価値な新製品・サービス開発、海外展開などに踏み出したい企業。
  • 提案のポイント:
    注目は「10億宣言」です。今後5年間の成長事業計画の策定が求められます。さらに概算要求案では「民間金融機関の姿勢(融資姿勢)を審査で評価する」旨が明記されています。単なる書類作成ではなく、「5年計画の策定+金融機関からの協調融資獲得」をセットで支援できるかが勝負となります。

私が注目しているポイントは、融資姿勢、つまり民間金融機関の協力が絡むことです。「融資支援に取り組んでいる士業・コンサルタント」にとって見逃せない補助金だといえるでしょう。

【課題3】後継者不在・M&Aを検討している企業へ

M&A・事業承継補助金(概算要求:200億円)

  • どんな企業に勧めるべきか:
    事業承継を契機に新たな設備投資を行いたい企業、または第三者承継(M&A)やその後の統合プロセス(PMI)を進める企業。
  • 提案のポイント:
    直近採択率は約60.7%と良好。この補助金の最大の利点は、士業・コンサルタントの本業(税務、法務、労務、財務デューデリジェンス、PMI支援)にそのままつながる点です。事業計画づくりから承継・統合後の経営伴走まで、息の長い支援案件へと発展させることができます。

補助金申請後の支援で、各士業・コンサルタント本来の業務によって本領を発揮しやすい点で、これも士業・コンサルタントが令和9年度に押さえておきたい補助金のひとつだと私は考えています。

【課題4】年商100億円の大台を目指す中堅企業へ

中小企業成長加速化補助金(概算要求:2,350億円)

  • どんな企業に勧めるべきか:
    すでに年商数十億円規模に達し、数億~十数億円規模の設備投資で全国・世界展開を狙うアグレッシブな中堅・中小企業。
  • 提案のポイント:
    採択率は約16〜25%と狭き門です。直近公募の実績でも投資経費の中央値は11.0億円、採択企業の96.1%が金融機関の確認書を添付しています。数多くの企業にばらまく補助金ではなく、「これぞという成長企業」に対して、事業計画の策定と大規模な融資による資金調達を一括伴走する熟練専門家向けの高難度・高単価案件です。

こうした企業への支援では、補助金申請だけで仕事が終わるとは考えにくいでしょう。対象となる成長企業と出会ったときは、補助金申請だけでなく、事業計画の策定資金調達その後の経営支援まで深く関与できる可能性があります。そういう意味でこの補助金も、士業・コンサルタントが押さえておきたいひとつだと考えています。

国が示す「1億・10億・100億」の成長階段

今回の概算要求案を俯瞰すると、国が描く中小企業政策のロードマップが明確に読み取れます。

  • 小規模事業者:売上高1億円を目指す経営計画と販路開拓
  • 中小企業:「10億宣言」を掲げ、売上高10億円への新事業展開
  • 中堅・成長企業:大規模投資で売上高100億円を目指す(10年間で5,500社創出目標)

国は企業の成長ステージごとに明確な補助制度を配置しています。したがって、士業・コンサルタント側も「使える補助金を探す」のではなく、「①顧問先の現在地はどこで、②次はどのステージ(1億/10億/100億)を目指すのか」を経営者と共有し、その道筋に必要な補助金を推薦していくアプローチが不可欠です。

申請代行から「融資一体型の成長投資支援」へ

生成AIが普及した現在、経営者の頭の中にある構想を整えて申請書の文章に落とし込むだけなら、AIでもかなりの精度で作成できるようになりました。「申請書の代筆」だけで高い報酬を得るビジネスモデルは、遠からず通用しなくなります。

これからの専門家に求められるのは、補助金と、融資を、一体で支援する力」です。

  • つなぎ融資で後払いリスクの解消
    補助金は原則「精算払い(後払い)」です。設備投資の代金を支払うための「つなぎ資金」や、補助金ではカバーできない自己負担分の資金調達(金融機関融資)がセットで必要になります。
  • 金融機関対応の成否が採択を左右する
    「10億宣言」や「成長加速化」に見られるように、国の審査自体が「民間金融機関の支援姿勢(融資の裏付け)」を重視する傾向を急速に強めています。
  • 投資後の伴走支援
    設備導入後に計画どおり売上・利益を上げられているかをモニタリングし、返済と成長を両立させる伴走支援を行って初めて、顧問先から手放せないパートナーとして信頼されます。

補助金をフックに、融資支援、事業計画策定、そして継続的な財務顧問へ。令和9年度の中小企業支援は、まさにこの「成長投資支援」ができる士業・コンサルタントの独壇場になっていくはずです。

融資支援のノウハウを身につけ、経営者から選ばれる専門家へ

補助金支援をきっかけに、顧問先から真に頼られる存在になるためには、「金融機関が融資したくなる事業計画の見極め方」や「金融機関対応(つなぎ資金・設備資金の調達ノウハウ)」が欠かせません。

「補助金の申請だけでなく、つなぎ融資を含む資金調達までアドバイスできるようになりたい」
「顧問先の成長を、財務面からトータルで支援したい」

そうお考えの士業・コンサルタント向けに、ネクストフェイズは「融資支援ノウハウ習得セミナー」を定期開催しています。

本セミナーでは、金融機関の融資判断の裏側や、経営者から資金相談を受けた際のヒアリング手順、金融機関への説得力の高い説明法など、現場ですぐに活かせる実践的な融資支援ノウハウを凝縮してお伝えします。ぜひ今後の支援業務の幅を広げる機会としてご活用ください。

※顧客の融資に関する個別質問などにもその場でお答えします

この記事の著者

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東川 仁

株式会社ネクストフェイズ 代表/中小企業診断士一般社団法人融資コンサルタント協会 代表理事
士業・コンサルタント向けに、銀行融資の支援、金融機関との関係づくりをテーマとした研修・セミナーを実施。

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