金融機関の経営者には勇気が足りない

今回の内容につきましては、完全に私見ですので、あらかじめご了承ください。

こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。
今さらながらの話ですが、最近の金融機関の動きを見ていると、
本当に危機感を持って動いているのか?
と感じられて仕方ありません。

昨年9月に公表された金融庁の
「金融庁の平成30年事務年度 金融行政方針について」
の74ページに

「直近3ヶ年の決算の状況を見ると、
2015 年度では106 行中40 行、2016 年度では106 行中54 行でそれぞれ本業利益が赤字
となっていたが、昨年度では、地域銀行全体では役務取引等利益の増加によって
本業利益率が下げ止まり、本業利益が赤字となっている銀行数は106 行中54 行と
前年度比横ばいで推移している。
しかしながら、その内訳を見ると、2期以上の連続赤字となっている銀行数が年々増加しており、
昨年度では106 行中52 行が連続赤字、うち23 行は5期以上の連続赤字となっている等、
一旦、本業赤字となった銀行の多くで黒字転換できない状況が窺える

とあるとおり、半数近くの金融機関の本業利益が赤字となっています。

また、2月15日の日経新聞の

と言う記事では、

上場する79の地方銀行・第二地方銀行・グループの18年4~12月期の連結純利益は
約6938億円と前年同期比11%減。16年3月期をピークに3期連続で減益基調となった。
全体の8割に当たる65行・グループが減益だった。
本業のもうけを示す実質業務純益は8818億円と前年同期比7%減。
前年同期は戻り益があった不良債権処理費用は2247億円に膨らんだ

とあるとおり、多くの金融機関の利益状況は、悪化しています

本業である貸出利息が伸び悩んでいるのが、その大きな原因となっているのにもかかわらず、
それを改善するような動きが現場で見えません。

貸出利息額を伸ばすためには、2つの方法があります。

一つは、貸出総額の増加
同じ金利水準でも、貸出額が増えれば、受け取れる貸出利息は増えます。

もうひとつは、平均貸出金利の引き上げ
貸出額が同じでも、平均貸出金利が上がれば、やはり貸出利息は増えます。

各金融機関は、貸出総額を伸ばすために、積極的に活動してきました。
実際に、金融機関全体の貸出総額は伸びています。
しかし、それ以上、金利水準が下がったため、貸出利息総額は、減少しています。

なぜ、そうなるのかとなると、
貸しやすい先にしか、融資をしていないから
なのです。

「どの金融機関でも貸せる企業」とは、「財務内容が良い企業」だったり、
「保全がとれている企業」だったりします。

そのような企業は、リスクが低いため、融資が集中します。
その結果、金融機関の競合が発生するため、金利はどんどん低下していきます。
財務内容だけ見て融資をすると、そのような企業にしか融資をしません。

以前は、ローリスクの企業に融資をしても、金利水準が高かったために、
それでも、利益を確保することはできました。
また、余剰資金については、国債で運用しても、十分、利益を得ることができました。

しかし、今のような低金利水準だと、
ローリスク企業にだけに融資をするというビジネスモデルでは、十分な収益が確保できません

今、金融機関が本当にしなければならないのは、
貸出総額を増加させることではなく、平均貸出金利を高めることです。
すなわち、ミドルリスクミドルリターンを狙っていかなければならないのです。

金融機関にとって、ローリスクローリターンの企業に融資することについては、
何の努力も必要ありません。
財務内容だけ見ていれば、誰でも判断出来るのですから。

しかし、ミドルリスク企業に融資をする場合、そのリスクが、
本当にリスクなのかどうか見極めなければなりません。

他の金融機関が見ればミドルリスク先と判断して、融資しないという結論に到った企業でも、
目利き力」を発揮してローリスク先と判断出来れば、融資をすることができます。
他の金融機関が融資しない先なら、貸し出す際に高い金利をつけたとしても、
企業は、借りざるを得ないので、その金利を受け入れます。
そういうことを積み重ねることで、平均貸出金利を引き上げることができます。

そのためには、「情報収集力」や「情報分析力」を踏まえた「目利き力」を磨かなければならないのです。

現場を見ていると、そういった「情報収集力」や「情報分析力」を
磨いているような動きには見えません。
また、より深く、取引先企業を理解するための動きもしているようには見えません。

「情報収集力」や「情報分析力」を磨くためには、「教育」が必要ですし、
取引先企業をよく理解するためには、それを行うための
「取引先との接触回数の増加」が必要です。

それらを行うためには、「時間」が必要なのですが、
その時間を捻出するための「勇気」が欠けているように思えます。

今、金融機関が行うべきことは、「規模の拡大」ではなく、まったく逆の「規模の縮小」
だと思います。

すなわち、
取引顧客数を減らすことで、もっと、一つ一つの取引先のリスクを見極める
ことです。

ミドルリスクと判断した企業に対して、深く調査しなければ、
それが本当にミドルリスク先なのか、本当はローリスク先なのか、正しい判断ができません。

取引顧客数を減らすことが出来れば、
そういう判断を行うために必要な接触回数を増やすことができますし、
能力開発のための教育を行う時間を捻出することができます。
ビジネスモデルを変えるという発想が、ここには必要となります。

しかし、ビジネスモデルを変えるためには、何年間かは「赤字」となる覚悟が要ります。
簡単にビジネスモデルは変わらないからです。

今の金利水準では、今までのビジネスモデルが通用しない
ということを、金融機関の経営者はわかっているのでしょうか?

「自分たちが経営陣の間は、現状維持にしていても、含み資産の売却等で最終利益は確保できる」
と思い、改革を行おうとしない経営陣がなんと多いことなのでしょうか?

戦略的に赤字を出せばいいのではないでしょうか?
今の含み利益をすべて吐き出すのに、どれだけの時間がかかるのか?
その時間内にビジネスモデルを転換できるのか?

金融機関が生き残っていくためには、その勝負となります。

昔の成功体験が通用するほど、今の金融機関を取り巻く環境は簡単ではありません。
ビジネスモデルを転換できる勇気を持てない経営陣のいる金融機関に勤めている
行員・職員に対しては、本当に気の毒に思えます。

というのが、最近、金融機関の変わらない現場を見て思うことです。
金融検査マニュアルが一刻も早く廃止されて、この状況が劇的に変わることを祈念致します。

もちろん、一部の金融機関は変わろうとしています。
私たちが関与する企業には、そういう金融機関と取引してもらいたいと思っていますし、
私自身は、関与先企業に対してそういう金融機関を紹介しています。
願わくば、そういう金融機関が増えるように。

株式会社ネクストフェイズ  東川 仁
 


 
今後、金融機関は「生き残る金融機関」と「淘汰される金融機関」に二極化します。
「淘汰される金融機関」と取引を続けていると、不幸な結末を迎える可能性が高いです。
そういった「淘汰される金融機関」には、すでに、その兆しが見えています。

これからは、企業にとっても、企業をサポートする士業やコンサルタントにとっても、
「生き残る金融機関を見極める目利き力」が重要となります。

そんな、金融機関を見極める目利き力を身につけるためのヒントが手に入ります。

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