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令和6年度において、経済産業省は中小企業支援に本気で取り組まないのか?

あくまでも概算要求案の話ですから。緊急経済対策で取り組むかもしれません。

こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。
2023年8月31日(木)に経済産業省の概算要求案が公開されました。
それを見て、毎年、経済産業省系の中小企業支援施策補助金について私の予想を公表しています。
概算要求案だけでなく、新聞報道や内閣府・政権与党等のサイトから情報収集を行い、多角的な視点で予想を行っていますが… 外れることもしばしばです。

今回も懲りずに、いろいろと「令和6年度(2024年度)の中小企業支援施策」について予想をしていきたいと思います。
あくまでも2023年9月4日(月)時点の情報に基づいたヒガシカワの独断による予想で、状況が変われば結果が大きく変わることもあります。あらかじめご了承ください。

また、各種報道によると、政府は9月~10月
緊急経済対策案をまとめ、その内容を令和5年度補正予算案に反映させる
としています。

今回の概算要求は、それを見越しての内容となっているかもしれません。

補助金は更に縮小されるか、最悪、終了する可能性もある?

今回の概算要求案において
「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」「持続化補助金」「IT導入補助金」における予算計上はされていません。

「中小企業等の自動化・IT化の推進支援」ということで、
「中小企業生産性革命推進事業(IT 導入補助金)【2,000 億円(R4 補正)の内数】」

「補助金等による賃上げ支援」ということで、
「中小企業等事業再構築促進事業【5,800 億円(R4 補正)】」と「中小企業生産性革命推進事業【2,000 億円(R4 補正)】(再掲)」 が掲載されていますが、新規の予算計上はありません

ということは、このまま令和5年度補正予算で追加予算が計上されなければ、現在残っている予算がなくなり次第、上記補助金は終了ということになります。

ただ、昨年も令和5年度概算要求案において、上記補助金は予算計上されず、令和4年度第2次補正予算で計上されましたので、まだ終了と判断するのは早いとは思いますが、毎年の予算計上額が減少し続けているため、継続されるとなっても、来年も減額となる可能性が高いでしょうね。
 

中小企業支援は重点施策ではなくなった?

今回の概算要求案を見て、私自身ショックを受けたのが、
「中小企業支援施策関連(中小企業庁)」の概算要求額が軒並み減額されていることでした。

「令和6年度 経済産業省関係 概算要求等概要」
の16ページ~17ページに
重要政策推進枠要望一覧」という表が掲載されています。

この表に掲載されている事業は、経済産業省が重要政策として推進しようとしているもので、継続的に行っている事業も少なくありません。

その中の「中小企業支援施策関連(中小企業庁)」の要望額を見ると、ほとんど前年度の予算から減額されています。

ここに掲載されている「中小企業支援施策関連(中小企業庁)」の「「重要政策推進枠」の要求額と、令和5年度予算は以下の通りです。(カッコ内は令和5年度予算額)

 ●独立行政法人中小企業基盤整備機構運営費交付金 32 億円(183億円)
 ●中小企業信用補完制度関連補助事業 26 億円(35億円)
 ●中小企業活性化・事業承継総合支援事業 103 億円(157億円)
 ●人権教育・啓発活動支援事業 0.01 億円(2億円)
 ●後継者支援ネットワーク事業 6 億円(2.1億円)
 ●中小企業取引対策事業 6 億円(24億円)
 ●中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業 19 億円(37億円)
 ●小規模事業対策推進事業 5 億円(53億円)
 ●地方公共団体による小規模事業者支援推進事業 3億円(11億円)

 
これらのうち、「後継者支援ネットワーク事業」のみが、要求案が前年度予算を上回っています。
すべて減額されているのであれば、「一律減額」という方針だと思いますが、増額要求されている事業もあることを考えると、
経済産業省にとって中小企業支援は重点施策ではなくなった
と邪推してしまいます。
 

150億以上減額となった、独立行政法人中小企業基盤整備機構運営費交付金事業

「独立行政法人中小企業基盤整備機構運営費交付金」において、概算要求額は、183億円⇒32億円と151億円(82%)減額となっています。

独立行政法人中小企業基盤整備機構運営費交付金事業の事業目的は、
中小企業政策全般にわたる総合的な支援・実施機関である独立行政法人中小企業基盤整備機構に対し、中小企業・小規模事業者の事業活動に必要な助言、研修、出資、共済制度の運営等の事業に必要な経費を交付します
となっています。

この大幅減額だけを見ると、
中小企業・小規模事業者の事業活動に必要な助言、研修、出資、共済制度の運営等の事業は縮小する
と勘ぐらざるを得ませんね。

※参考までに令和5年度予算(令和6年度概算要求案ではありません)における「独立行政法人中小企業基盤整備機構運営費交付金事業」の内容については、下記ページをご参照願います。
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2023/pr/ip/chuki_01.pdf
 

中小企業活性化・事業承継への熱意を失った?

「中小企業活性化・事業承継総合支援事業」においては、157億円⇒103億円と53億円(35%)減額となっています。

この事業の事業目的は
財務上の問題を抱えている中小企業等に対して、収益力改善・事業再生を支援するとともに、後継者不在の中小企業等に対しては、事業承継・事業引継ぎを支援することで、地域の経済と雇用の基盤を支えること
として、主に専門家派遣や相談業務を行っています。
この費用が減額されるということは、事業者が専門家に相談する機会が減るということを意味すると思います。

※令和5年度予算における「中小企業活性化・事業承継総合支援事業」の内容については、下記ページをご参照願います。
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2023/pr/ip/chuki_02.pdf
 

専門家派遣も減らされる?

「中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業」において37億円⇒19 億円と18億円と約半分になっています。
「中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業」の主な事業内容は、「よろず支援拠点の運営」と「専門家派遣」「高度化実証事業」となっています。
よろず支援拠点が減らされるという話は聞いていませんので、この予算減額の大半は、専門家派遣制度費用だと予想します。

また、「小規模事業対策推進事業」も53億円⇒5億円と予算が10分の1になっています。
この事業の事業目的は
商工会及び商工会議所が実施する経営改善のための支援事業を通じた小規模事業者の持続的発展の実現
となっており、全国の商工会や商工会議所の運営費用として計上されているものです。
商工会や商工会議所の運営についても規模縮小となる可能性があります。

この2つ事業の予算減額を見ると、専門家派遣が減らされる可能性が高いのではないかと思います。

※令和5年度予算における「中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業」「小規模事業対策推進事業」の内容については、下記ページをご参照願います。
●中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業
●小規模事業対策推進事業
 

経済産業省系の補助金申請は早めに

令和5年度の補正予算次第ですが、この概算要求だけを見ると、経済産業省系の補助金は、残っている予算がなくなると終了となる可能性があります。
これからの申請件数や採択件数次第で、令和5年度中に予算切れとなることも考えられます。

過去記事でもお伝えしましたが、経済産業省系の補助金申請を考える事業者を顧客にお持ちの士業・コンサルタントは、できるだけ前倒しの申請提案をおすすめします。


専門家派遣の費用や商工会議所の運営費が削減となれば、公的支援の仕事をメインに据えている士業・コンサルタントにとっては、仕事が減るということも考えられます。
私も経験ありますが、公的支援の仕事をしていると、国や地方自治体の予算によって、売上が大きく影響されます。
公的支援の仕事は、中小・零細企業にとっても重要ですが、その仕事の割合が高いと、事務所経営が安定しません。
また、補助金支援の仕事もいつまでもあるとは限りません
自らが顧客や顧問先を確保しないと、将来的に不安を感じることになりかねません。

そんな顧客や顧問先を獲得するのに役立つ融資支援ができる士業・コンサルタントになるためのヒントが手に入ります。

※融資に関する質問などにもその場でお答えします

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