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「鶴の恩返し」を弁理士が読んだら

むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。

(大幅省略)

娘の織った、まるで鶴の羽根のように美しい布は、街で大評判。
ファッションリーダーのお殿様ばかりか、多くの民が娘の布を我先にと買い求めました。
各TVやモード誌では特集が組まれ、FACEBOOK®TWITTER® でも常に話題。
しかし世の喧噪とは別に、娘は毎夜作業場にこもって布を織り、
おじいさんとおばあさんは毎日街でその布を売る、ごく地味で、しかし平和な日々を過ごす3人でした。

しばらく経ったある日、おばあさんは、場末のみすぼらしい露店で、
娘が織ったものに似た布が通常価格の10分の1で山積みになって売られているのを見つけます。
「なぜこんな場所で、こんな値段で、こんな大量に」
その布を手に取ったおばあさんは驚きます。
見た目こそ娘の織った布に似ているものの、たいそう粗悪な作りなのです。
「これはたいへん」

おばあさんは参考のためそのニセ布を購入し、おじいさんに見せます。
おじいさんは激怒しましたが、怒るだけでどうしていいかわかりません。
おばあさんは「そういうことに強い職業のお方がおるそうな」とiPhone®Google®検索し、
たまたま近所に事務所があるという意外にシンプルな理由で弁理士を選んで、さっそく来てもらいました。

弁理士はニセ布と娘の布を比べ、熱く語ります。
「この粗悪な布に比べて、こちらは鶴の羽根のような輝き…。まさに鶴品質、鶴プライドですよ!」
「ちょ、何言ってんのかわからん…」と言いかけたおじいさんを、おばあさんが静かに制します。

弁理士はさらに状況を詳しくヒアリングしました。
「なるほど、その悪徳ニセ業者『乙』は資金力を背景に『甲』の権利を甚大に侵害し、不正競争を」
「ちょ、何言ってんのか…」とまた言いかけたおじいさんの気持ちを察した弁理士は、
さすが言葉を扱うプロ、かみくだいて上手に説明します。
が、おじいさんは途中で知恵熱が出たのか、おばあさんに熱さまシート®を貼ってもらいました。

弁理士は愛機Let’s note®をカチャカチャしながら、ぶつぶつとつぶやきます。
販売後だから、商標は取れても特許は無理か……。商標だけでは技術の模倣は完全に防げないし……。
そうだ、新規性喪失の例外は……いや、他人の販売だから無理だし……」

どうも弁理士の悪い癖が出たようで彼は一人の世界に入ってしまったようですが、
おばあさんは臆せず言葉をかけます。
「特許というものでニセ布を排除できると聞いたのですじゃが」
弁理士は残念そうに答えます。
「特許を出願していれば何とかなったのですが、販売した後となってはもう後の祭でして」

そこへ連日の機織りでやせ細った娘が、仕上がったばかりの布を手に会議室へ入ってきました。
「話はすべて聞きましたわ。こんなこともあろうかと、模倣品から守るため、特許については初めて布を売る前ネット出願を済ませておきました。出願日の確保はできています」

「本当ですか! それではすぐに審査請求を、早期審査事情説明書の提出とあわせて行いましょう。あと、忘れずに商標出願も」
突然の形勢逆転に、弁理士は少し興奮気味に早口でまくしたてます。

「早期審査…とは、どういうものじゃ」とおじいさんが尋ねます。
「早く特許出願を審査してもらう手続きです。特許出願が審査に通れば、差止請求損害賠償請求ができます」と弁理士。
おじいさんは「よっしゃ、倍返しだ!」と叫びました。
「それは別の作品ですじゃ」と、おばあさんが小さな声で突っ込みました。

数ヶ月後、特許および商標出願が審査を通過し、特許査定と商標査定の証書が届きました。
おじいさんもおばあさんも大喜び。
おじいさんはニコニコしながら「よっしゃ、倍返しだ!」とまた叫び、
「だからそれは別の作品…」と突っ込みかけたおばあさんも、とてもうれしそうです。

しかし娘は悲しげに言いました。
「わたしは助けてもらった鶴です。ご恩をお返ししたくて変身してまいりましたが、間もなく特許公報で特許が公開されてしまいますので、今日でお別れです」
「どういうことじゃ」と驚くふたり。

「出願すると、出願から1年6ヶ月で、特許の明細書に書いた機織りの方法が公開されるのです。機織りの秘密が公開されると、ここにはおれませぬ。しかも特許公報のデータベースはネットでも閲覧可能です」
そう言って娘はふたりの前に愛機を差し出しました。
それはかつて、彼女が特許をネット出願したMACBOOK®でした。

ふたりはおろおろ。
「特許とは公開されるものだったのか…。しかしそなた、機を織る姿はけっして見てくれるなと、絶対の秘密なのだと、あれほど…」
「いつまでもノウハウを管理・秘匿するのは今回の場合、現実的ではないと思いまして…」と、
娘は小さく微笑みます。

おじいさんとおばあさんは「わしらが弁理士に頼んだのがよくなったのじゃろうか」と肩を落とします。
しかし娘は「弁理士さんには、感謝しかございませぬ。特許も商標も取れた今後、おふたりは左うちわでございます。おふたりの永遠の幸せこそが、わたくしの望みですゆえ」と頭を下げ、
鶴の姿に戻って空に舞い上がりました。

そのあと――。
伝え聞くところによると、ふたりは末永く幸せに暮らしたということです。

というのも、おじいさんは、その後なぜか罠にかかった鶴を見つけては逃がしてやることが増え、
弁理士や自分たちが作業現場を確認する必要なく、
特許明細書を娘らに見せるだけで正確に同じ布を継続的に織らせることができるようになったからです。

また、おばあさんは弁理士と組んで、悪徳ニセ布業者からたんまり損害賠償金を召し上げたそうな。
ただ彼女は、布地の商標だけがイマイチ気に入らなかったとか。
だって商標が「鶴の倍返し」だっていうんですから。

めでたしめでたし

「顧客獲得の仕組み」とは、経営者の困りごとを解決して、(売り込むことなく)経営者から経営者へ自分を紹介してもらうこと。経営者の一番の困りごとは、資金繰りです。融資です。繁忙期が終わったら、いちど学びにこられませんか。しっかり仕組みを作って、任せるところは任せて、自分は自分にしかできない仕事に集中しましょう。

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