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同文舘出版インタビュー【5】「士業の出版について教えてください」

出版社が集まる東京・神保町の同文舘出版に伺い、
このたびのネクストフェイズ代表・東川の新刊と、
士業の出版について尋ねてきました。

ご登場いただくのは、ビジネス書編集部長の古市達彦さんと、
ネクストフェイズ代表・東川の新刊をご担当くださった、
ビジネス書編集部の竹並治子さん。

まずは竹並さんに、
東川の新刊『最新版 90日で商工会議所からよばれる講師になる方法』の担当編集者として、
今回の新刊について、また編集と著者との関わり方についてお聞きしました。

私たちが手にする「書籍」は、
著者が文章を書いて、編集者が受け取って、ハイ一冊仕上がり、なんかじゃ全然ありません。
著者と編集者ががっぷり四つに組んで、二人三脚で少しずつ歩みながら、
まったくの「手づくり」で生まれているのです。

後半の話題は、同文舘出版が行っている「ビジネス書出版会議」について。
「自分の本を出したい」と願う士業・コンサルタントに役立つお話を、
古市さんにお話をお伺いしています。
同文舘出版と東川の出会いは2009年にさかのぼりますが、それも、
新しい著者と出会うために定期的に同文舘出版が行っている「ビジネス書出版会議」の場でした。

いつものように5回連載でお届けします。

聞き手はネクストフェイズ編集部ですが、
今回も取材に同席していた東川がときどき発言しています。

同文舘出版インタビュー <全5回>
「士業の出版について教えてください」

【もくじ】
第1回 今回の新刊、「ここだけはぜひ!」という読みどころ
第2回 内容もスケジュールも変わっていくのは普通のこと
第3回 担当編集者が語る、装丁の味わいどころ
第4回 100人を著者デビューさせた「ビジネス書出版会議」とは
第5回 「出版会議」で著者になりたい人と編集者が話し合うこと
 

【第5回】「出版会議」で著者になりたい人と編集者が話し合うこと

古市  今はあまり本が売れない時代ですよね。そこで私がビジネス書出版会議でよく言うのは、「本を出すことによって、3年後・5年後の自分がどうなっていたいかをイメージしてください」ということ。3年後・5年後の自分のビジネスとつなげて本を出すことを考えていかないと、ぜんぜん、まったく意味がない。

――  意味がない…。

古市  出版社は、一定のお金をかけて本を出すんです。だから「本を出して終わり」では困ります。出版を自分のビジネスにつなげて、数年後どうなっていたいかを明確にイメージすることによって、自分のビジネスも広がっていくし、ビジネスが広がっていけば本を売る機会もより豊かになるわけだから、お互いにWin-Winになれます。そこをまったく考えていない人は、本を出して終わりと考えている。

東川  出版がゴールになっているんですよね。

古市  出版が目的化している。記念にしたい、一生の思い出にしたい。それはやめてくれと、もうしょっちゅう言っているの、最近、どこでも。

――  そういう方は多いんですか。

古市  多いですね。

東川  とりあえず本を出したい、出してブランディングしたいと。でもブランディングするにも、計算していかないとだめですね。本を出したらブランディングになるという考え方は単純すぎます。

竹並  誰のためにもならないですね。

古市  みんなに迷惑をかけるだけです。

東川  今、出版コンサルタントって多いでしょ。もちろん全員じゃないけれど、本を出すのをゴールにしている出版コンサルタントは多いですよね。

古市  この取材の最初に竹並が、東川さんと一緒になって本を作っていく過程をお話ししましたよね。このように一生懸命、半年から1年をかけて文字を埋めていったって、もし自分の3年後・5年後につなげられないのなら、結局、苦労をしているだけ。無駄だからやめたほうがいいと出版会議で言っています。

 

読者ニーズを知るため、著者のセミナーに足を運ぶ編集者

東川  僕の旧版だってもともと「商工会議所からよばれる…」というタイトルはどうかという問題があって、竹並さん、わざわざ僕の講師セミナーに来て、参加者にニーズを尋ねてくれたんですよ。

竹並  そこでセミナー参加者が「商工会議所で講師をしたかったから」と言っていて、タイトルには「商工会議所」を入れようと決まったんですね。

――  編集さんって、著者のセミナーにも足を運ぶんですか。

竹並  セミナーは行きますね。そこでどういう声、どういう感想がセミナー受講者の方から出てくるかを伺うようにしています。

古市  それくらい編集もチカラを入れて書籍を作っている。だから言うんです。自分のビジネスのことだから、真剣に考えろと。でもそれがわからない人は多いですね。

竹並  もちろん一定のクオリティというのは当然あったうえでなんですけれども、そのときに書けることを、3年後・5年後も…

古市  そう、それを継続していけるかどうかが大事ですね。

東川  でも珍しいですよね、出版社には「自分のビジネスにつなげようなんて考えるな、そんな下心を持つな」と言うところも多いんですけどね。

竹並  出版社にも両方のタイプがありますよ。

古市  あるとき、言ったことがあるんです。ある本を書き上げた著者が、「古市さん、私、これからどうしたらいいんでしょうか」って言うんです。ふざけんなと怒ったの。そんなことを言っている場合じゃないんだ、君はこれから日本一の、この本に書いたテーマの専門家にならなければどうするんだ、と。そしたら、それで発奮してくれて。

東川  古市さんが「日本一」と言った瞬間に、その著者は自分のビジョンが明確になったんでしょうね。だからそのビジョンを達成するために、どうしたらいいか発奮したと。

古市  その方の本、1万冊近く売れました。脱稿時は「弱気なことを言って、なんてことだ!」と怒鳴ったんですが、後になってとても感謝されたんです。「あのとき古市さんに言われなかったら、どうなっていたかわかりません」って。

 


●「古市さんは、熱い言葉で叱咤激励し、自分のビジネスについて全力で関わってきてくれる編集者。
独立したあと、ここまで親身に考えてくれる人に出会えることってめったにありません」(東川)

 

自分の本を出せる人、出せない人

――  結局、出版できる人とできない人の違いって何でしょう。

古市  編集者の言うことに耳を傾けることができない人ですね。←即答

竹並  自分の強みとか、これを言いたい・書きたいと思っていても、もう似たような本がたくさんあったりするわけじゃないですか。「類書がどれくらいあるか知っていますか」と聞くと、結構知らなかったりする人も多いんですよ。

――  そうなんですね。

竹並  だから市場にどんな本が既にあって、そのうえで、じゃあ同じジャンルでいくなら何がどう違うとか、自分にしかできないのはココだなというのがわかっているかどうか、わかろうと努力しているか、といった点も大切です。最初はもちろん、みなさん考えがぼんやりしているんですけど。

東川  しかし、自分だけが書けるオンリーワンのネタって、探すのがなかなか難しいですよね。

古市  難しいけど、それをやらないとね。だから最近、出版会議で言うのは、もっと深掘りしろと。徹底的に自分のことを深掘りしろ、自分のことわかっていないだろと。俺はわかっている、君の企画や原稿を見たらわかる、でも君自身は気づいていないでしょと、よく言うんですよ。

――  具体的にはどのように。

古市  自分のやってきたこと、今やっていることと、人から評価されたこと、何でもいいからアトランダムに100個書き出しなさいと言っているんですよ。100個も書き出したら、自然に「これとこれは同じものだな」とくくられてくるから、それが書籍の章立てになっていくんだよという話をします。

東川  最終的に本にならなくても、参加しがいのある出版会議です。今はまだ自分の強みが見つけられない人にこそ、おすすめしたい。自分の価値を、客観的に見つめなおすことができるから。

竹並  もちろん出版社にとっても、新しい著者に出会えるのはわくわくする体験です。

東川  僕も久しぶりに行って勉強しなおそうかな。

古市  あ、もうしばらく君は要らない(笑)。

 

(おわります)


●一つひとつの過程を大事にしながら、けっして急ぎすぎず、長く読まれる価値のある本をつくる、
それが読者にも著者にも出版社にも、うれしいことなんだ――。
ていねいな仕事をする出版社ならではの、リアルで貴重なお話でした。ありがとうございました!


同文舘出版インタビュー <全5回>
「士業の出版について教えてください」

【もくじ】
第1回 今回の新刊、「ここだけはぜひ!」という読みどころ
第2回 内容もスケジュールも変わっていくのは普通のこと
第3回 担当編集者が語る、装丁の味わいどころ
第4回 100人を著者デビューさせた「ビジネス書出版会議」とは
第5回 「出版会議」で著者になりたい人と編集者が話し合うこと


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